研究概要 |
(1)G2全光論理ゲートデバイス 昨年度に引き続き,InPフェーズドアレイ型マトリックス光スイッチの開発を行い,1x100のスイッチ規模を実現した.半導体光増幅器アレイをモノリシックに集積することにより40dB以上の高い消光特性を達成し,10Gbps信号のスイッチング実験では,パワーペナルティが1dB以下のエラーフリー動作を得た.本成果はECOCポストデッドライン論文として採択されるに至った.また,並行して,光スイッチの各出力ポートに光モニタを集積する技術を提案し,パワーモニタ内蔵型光スイッチの試作に成功した. (2)G2全光フリップフロップデバイス 昨年度提案した分布ブラッグ反射鏡とマッハツェンダー干渉計型レーザを組み合わせた全光フリップ光クロックフロップ素子の光クロック動作について,詳細な実験を行い,1545~1559nmの広範なクロック波長可変範囲を初めとする,所期の動作を確認した.また,結合レート方程式による動特性シミュレーション手法を構築し,実験結果を完全に再現することに成功した.さらに,入力信号に由来した波形歪みを取り除くための新規デバイス構造を提案し,シミューレーションにより有効性を実証した. (3)G2非相反光デバイス 昨年度までに開発した非相反損失光デバイスをリング共振器レーザ内部にモノリシック集積することに成功した.非相反損失光デバイスに印加する磁場の方向を反転させることにより,リングレーザの発振方向を制御できることを実証した. (4)デジタル光集積回路の開発 昨年度開発した,光スイッチと光遅延線を組み合わせた光バッファ回路の集積化をさらに推し進め,光遅延線,光カプラ,および,可変光減衰素子を石英系プレーナ光波回路上にワンチップ集積し,光スイッチとハイブリッド実装したコンパクトな光バッファ集積回路の作製に成功した.可変光カプラの結合比を制御することによりポート間バラツキを動的に制御する手法を提案し,初期的ながら,実験により原理動作を確認した.
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