研究概要 |
(1)G2光スイッチングデバイス:昨年度までに開発したInPフェーズドアレイ型1xNマトリックス光スイッチのNxN化に向けた基礎設計とフォトマスク作製を行うとともに,新たなタイプの光スイッチの研究を行った.特に,ビーム偏向型1xN光スイッチの提案と,性能シミュレーションを行い,クロストークを低減する素子構造を見出した.さらに,フェーズドアレイ型光スイッチの出力側を,45度ミラーで空間中に折り返し,3次元で光偏向を行う新たな光スイッチに関しても研究に着手し,InP導波路の45度立体ミラー形成用エッチング技術を開発した, (2)G2全光フリップフロップデバイス:素子の光クロック動作を可能にするため,結合モード分布ブラッグ反射鏡(DBR)レーザ構造を有する素子を提案し,動作特性シミュレーションを行った.その結果,所望の全光クロック動作が可能であること,出力光の緩和振動を低減できること,等が明らかになった.解析結果に基づいて,実素子の設計を完了し,試作を行っている.(3)G2非相反光デバイス:電力消費を伴わない非相反光デバイスを実現するため,導波路型の光偏波コンバータの開発を行っている.特に,構造の簡単な非対称光導波路で偏波変換を行うことに取り組み(特許出願済み),各種のエッチング技術を駆使してInP非対称光導波路を実際に作製し,所望の偏波変換特性の得られていることを確認した. (4)デジタル光集積回路の開発:昨年度に引き続き,InP光スイッチと石英系光回路をハイブリッド実装したコンパクトな光バッファ集積回路を開発した.これにより,可変遅延時間幅が格段に広がった. (5)シリコン基板上集積技術の開発;低損失の3次元スポットサイズコンバータをシリコン光導波路で実現するとともに,InP系活性層をシリコンリブ導波路にプラズマ援用ウェーハ接合で集積し,電流注入ファブリーベロー発振に成功した.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で,全光順序論理演算用メモリには全光フリップフロップを,大きな容量のバッファメモリには,集積遅延線を用いるのが現実的であることが明らかになってきたので,今後はこの方針に従って回路設計を行ってゆく方針である.
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