研究課題/領域番号 |
20226010
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
石田 誠 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30126924)
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研究分担者 |
澤田 和明 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40235461)
川島 貴弘 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50378270)
河野 剛士 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70452216)
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キーワード | 選択VLS成長 / シリコンプローブアレイ / マイクロチューブアレイ / 集積回路技術 / 細胞記録,刺激,薬剤投与 / 埋込み型マイクロデバイス / 脳神経科学 / ブレイン-マシン・インタフェース |
研究概要 |
脳・神経科学、先端医療分野で求められる神経細胞測デバイスは、生体内における細胞単位での電気信号記録、電気刺激や薬剤投与による細胞治療を可能とするものである。これまで米国を中心として細胞用電極が開発されてきているが、これらの電極直径は数十ミクロン以上であり、測定時の低空間分解能、刺入時の細胞損傷が懸念される。本研究で提案するデバイスは、"選択Vapor-liquid-solid (VLS)結晶成長法"という手法を用いたものであり、これまでの電極の限界を打ち破るものとして期待できる。今年度は主に下記事項に関して研究を行ってきた。 1.開発した神経電極(間隔300μm、長さ200μmプローブアレイ)の実証試験に、下等脊椎動物(鯉)網膜やラット大脳皮質を用いた。ラット大脳皮質バレル野からの細胞記録においては、ラットのヒゲ刺激に対応した神経細胞発火(Spike)、集合電位(Local Field Potential : LFP)をそれぞれ確認した。 2.皮質脳波(ECoG)計測用の平面電極(電極径20μm)とSpike計測用のマイクロプローブ(電極径7μm、プローブ長200μm)を100μm間隔で同一基板に製作した"ハイブリッド神経電極"を製作し、ラット大脳皮質視覚野からの細胞記録において、ECoGとSpikeの同時計測を実現した。 3.シリコンピエゾ抵抗効果を利用したプローブ刺入特性評価用マイクロフォースセンサプローブを製作・評価した。ピエゾ抵抗効果を実現する抵抗率1Ωcmのプローブアレイを製作し、プローブ電気的特性、圧縮応力依存性を評価した。これまでに計測されていない微小プローブ電極の刺入圧力を数値化することで、今後の生体刺入用各種マイクロプローブ電極の設計・製作に貢献できると考えている。 4.RF集積回路やデバイス高機能化に必要なアナログ/デジタル変換回路の搭載を可能とする、標準基板(Si(100))を用いた集積化プロセスを確立した。これまでに微小細胞電位(細胞外電位~100μV)の計測における信号減衰の問題を解決することを目的としたインピーダンス変換回路の集積化を実現した。 5.局所的な神経細胞刺激可能な電極材料の開発を検討した。電解メッキ法と電気化学的酸化処理法を組み合わせた手法による、酸化イリジウム(IrOx)/白金黒(Pt-black)電極を提案・製作し、電極評価においてPt-bbck電極と比較し2倍以上の電流刺激可能な特性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度として"おおむね順調に進展している"と考える。その理由として、当初計画項目のマイクロプローブと薬剤投与用チューブ混在アレイ、3次元空間用として高さの異なるプローブ構造の実現、混載集積回路技術の確立し、これまでに同一シリコン基板上に増幅器を含む各種信号処理回路を実現した点、加えて各種生理実験に基づくデバイス実用性を確認した点があげられる。
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今後の研究の推進方策 |
当初研究計画を達成する目的で、今後は下記項目を実施する。 生理実験:24年度以降は、埋込み、無線技術の評価を中心に各生理実験を実施する。 信号処理回路:これまでにOn-chip信号処理回路として必要なシステム構成の指針を検討しており、24年度以降は無線回路システムを搭載するデバイスの実現を目指す。 ワイヤレスシステム:上記"信号処理回路搭載デバイス"で設計・製作した無線回路を用いたワイヤレス計測システムを構築する。 インプラントチップ検討・評価:23年度に製作したインプラント用デバイスの埋込み技術、生体応答の評価を中心に各生理実験を実施する。 治療デバイス、神経インタフェース:電気的刺激プローブ電極デバイスを確立する。電気的刺激プローブデバイスを製作し、その後各種の生理実験を通した刺激プローブ電極デバイスの評価・検討を実する。
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