研究課題/領域番号 |
20226013
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 明久 東北大学, 総長 (10108566)
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研究分担者 |
CHEN Mingwei 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (20372310)
竹内 章 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 准教授 (40250815)
張 偉 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (20400400)
D.V. Louzguine 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授 (60302212)
加藤 秀実 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80323096)
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キーワード | バルク金属ガラス / 高エントロピー合金 / ナノ粒子金属ガラス / 微小電気機械システム / 鉄基金属ガラス / 脱合金化 / ポーラス / 分子動力学シミュレーション |
研究概要 |
基礎的な研究項目としては、新規センチメートル級バルク金属ガラス(BMG)として、臨界直径1センチメートルのPd_<20>Pt_<20>Cu_<20>Ni_<20>P_<20>合金を見出した。このPd_<20>Pt_<20>Cu_<20>Ni_<20>P_<20>合金は、5元系以上の多元系等原子分率合金として定義される高エントロピー(H-E)合金の開発指針をBMGの開発指針として導入して作製された新規合金であり、H-E合金とBMGとの融合材料、すなわちHE-BMGである。このHE-BMGのH-E合金の側面としては、これまで薄膜でしか作製できなかったH-Eガラス合金の常識を打ち破り、一気にセンチメートル級へのスケールアップに成功した点が特記される。さらに、金属ガラスの基礎的研究の拡充を図り、ナノ粒子金属ガラスの開発に成功するとともに、金属溶湯を利用した脱合金化方法を新規に開発してTiポーラス材料の創製にも成功している。このポーラス材料の作製方法は、バルク金属ガラスの開発指針の一つとして知られている混合熱の知見を応用した成果である。これらのナノ粒子金属ガラスおよびTiポーラス材料は、ともに、新規触媒材料としての応用への道を切り拓く先進的な基礎研究に位置づけられる。金属ガラスの応用面では、Fe基金属ガラスの優れた機械的性質および磁気的性質を活用することにより、微小電気機械システム(MEMS)にマイクロミラーを組み入れたデバイスの作製に成功した。これにより、1990年後半以降、ゴルフクラブヘッド、マイクロギヤードモータ、圧力センサーなどで継続的に実践されてきたバルク金属ガラスの応用開発に新旋風を取り入れた研究開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規センチメートル級バルク金属ガラスの開発では、多元系等原子分率で定義される高エントロピー合金の合金開発指針を導入することにより、臨界直径1センチメートルの高エントロピーバルク金属ガラス、Pd_<20>Pt_<20>Cu_<20>Ni_<20>P_<20>の開発に成功した。一方、金属ガラスの応用開発では、微小電気機械システム(MEMS)への展開を図り、Fe基金属ガラスのマイクロミラーの開発に成功している。研究計画調書の研究目的に謳っている合金開発および応用の両面において、新規展開を図ることができ、充分に研究が進展したと自己評価される。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画最終年度の平成24年度では、平成23年度に見出した高エントロピーバルク金属ガラスの開発を行うとともに、これまで開発が困難であったチタン基バルク金属ガラスの開発に着手して、生体材料などへの展開を図る計画である。さらに、金属ガラスの応用開発では、例えばZr基バルク金属ガラスを使用して新規MEMSへの応用展開の拡充を図る計画である。平成23年度では、分析・解析的研究項目として微小電子ビームによる金属ガラス中のクラスターの検出に成功しており、最終年度に向けて、この分析・解析的研究項目についても、さらなる研究の進展を図る。研究全般では、新規合金開発、分析・解析および応用化の全ての項目について、バランス良く研究成果が輩出されており、最終年度ではこれらの研究の総括を行う計画である。
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