研究課題/領域番号 |
20226014
|
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
大貫 仁 茨城大学, 工学部, 教授 (70315612)
|
研究分担者 |
一色 実 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20111247)
篠嶋 妥 茨城大学, 工学部, 教授 (80187137)
稲見 隆 茨城大学, 工学部, 准教授 (20091853)
近藤 和夫 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50250478)
|
キーワード | LSI / Cu配線 / 添加剤フリーめっき / 粒界不純物 / Ru膜 / クレヴァス / 収差補正STEM |
研究概要 |
1)28mm以細対応LSI対応Cu配線形成と抵抗率および信頼性の評価 上記微細配線溝中への添加材フリーめっきを行い、高速アニール技術と組み合わせて現状プロセス(添加材有)で作製しCu配線の抵抗率よりも約30%低いCu配線を作製することに成功した。また、不純物の極めて少ないDially lamine添加材を開発し、これを用いて作製したCu配線の抵抗率は従来プロセス(添加材有)品に比べ約12%抵抗率を低減できることが分かった。しかし、上記添加材は分子量が多く、微細配線への埋め込み性に問題があることも判明した。今後低分子量の添加材を開発し、微細配線への埋め込み性と抵抗率について検討する。また、高純度めっき材料のCu配線の深さ方向の微細構造に及ぼす影響についても、EBSDとCMPを組み合わせて検討した。現状配線では、Cu配線溝の下部の結晶粒径は微細でばらつきも大きいが、めっき材料、特に高純度硫酸銅を用い、添加材フリーの条件下でめっきしアニールしたCu配線下部の結晶粒径は、均一・粗大化して現状配線よりも約30%も大きくなり、そのばらつきは1/3以下に減少することが明らかになった。これが、高純度化による抵抗率低減のメカニズムであると考えられる。 2)低抵抗率Ruバリア材の導入による伽配線の低抵抗率化 Ar圧力が10^<-2>TorrにおいてRu膜のクレヴァスの存在比と抵抗率に及ぼす基板温度の影響について検討し、700℃において(002)配向性を有し、バルク並みの抵抗率(10μΩcm)とクレヴァスの無いRu膜形成に成功した。次に、Ar圧力および基板温度の関数としてRuのクレヴァスの存在比および構造について検討した結果、Ar圧力を7x10^<-4>Torrにすることにより500℃まで基板温度を下げても(002)配向性を有するRu膜が得られることが分かった。今後は、ヘリカルコイルをチャンバー内に導入し、Ar圧力をさらに低くして、Ru膜を形成し、配向性、抵抗率を評価する。 3)Cu配線の微細結晶粒界に存在する不純物の解析、Cu膜中の不純物の定量分析 収差補正型電子顕微鏡(STEM+EDX)を用いて現状プロセスレベルのCu配線の結晶粒界を解析した。粒界には、Cuより軽元素の析出物が存在し、Cl、Cおよび0を含むことを初めて明らかにできた。また、高純度プロセス品では、上記元素はかなり少ないことも明らかにした。今後は、EELSにより粒界不純物の詳細な解析を行う。また、GDMAにより、添加材フリーの条件下で形成したCuめっき膜中の不純物の定量分析を行い、添加材入りで形成した現状プロセス膜と比較した結果、Cl,C,Al,S,Ag等が著しく減少することを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
めっき材料の高純度化および添加材の低減がCu配線の低抵抗率化のキー技術であることを抵抗率測定と微細構造評価により明らかにできたため。
|
今後の研究の推進方策 |
1)めっき材料、特に硫酸銅の一層の高純度化を図り、添加材フリーあるいは不純物の極めて少ない添加材を使用してCuめっきを行い、アニールの最適化(繰り返しアニール)と組み合わせて極限高純度化プロセスを構築する。 2)と低抵抗率Ruバリアと組み合わせて一層の低抵抗率化を実現する。 3)極限高純度化プロセスで作製したCu配線の高信頼性を明確にする。 4)粒成長抑制元素の解析も行う。
|