研究概要 |
核燃焼プラズマでは,加熱・電流駆動・燃料供給がプラズマ自身によって自律的に支配される.そのようなプラズマの挙動を正確に予測し,信頼できる制御手法を開発するために,炉心プラズマ統合シミュレーションコードの開発が急務となっている.本研究においては,炉心プラズマ全体の時間発展を記述する統合モデリングコードTASKの整備・拡張を行い,既存トカマクでの実験結果との比較によって物理モデルを検証するとともに,ITERプラズマ等の核燃焼プラズマの性能予測ならびに制御手法開発に利用できる統合コードへと発展させ,粒子の速度分布関数の時間発展を記述し,加熱や電流駆動に伴う速度分布関数の変形を自己無撞着に取り入れた運動論的統合輸送シミュレーションを実現することが目的である.今年度の主な成果は 1. 運動論的統合シミュレーション装置を導入し,運動論的輸送モジュール(FP)の並列化により,速度分布関数時間発展シミュレーションを高速化するとともに,空間拡散を取り入れた3次元解析を行った. 2. 運動論的誘電率を用いた波動伝播解析モジュール(WM)と運動論的輸送モジュール(FP)およびドリフト運動論的速度分布解析コード(GNET)を組み合わせることによって,トカマクおよびヘリカル系におけるICRF加熱の解析を行った. 3. ジャイロ運動論方程式によりITG/TEM/ETG/KBM等の微視的モードの線形安定性を解析するモジュール(EG)の開発を行った. 4. 非軸対称効果を取り入れるために,磁気島のある平衡配位を記述できる3次元平衡コードの定式化,および核融合炉におけるシンクロトロン輻射輸送の運動論的定式化を行った. 5. 研究室のWebサーバを整備し,コードの開発状況および開発済コードを公開した.
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