研究概要 |
内部拡散障壁による超高密度プラズマの定常保持実証と密度限界の同定に取り組む為に,最大20連発の射出が可能な固体水素ペレット入射装置を完成させ,大型ヘリカル装置で生成されるプラズマを対象としたペレット入射による超高密度プラズマ維持実験を開始した.密度信号を参照してペレットの入射タイミングを実時間帰還制御することによって,粒子供給過多によるプラズマの放射崩壊を避けつつ,内部拡散障壁による超高密度プラズマを維持することに成功した.この実験結果は,中心粒子供給を行うことによって,超高密度プラズマを準定常的に保持できることを実証しており,超高密度低温での制御熱核融合点火領域の運転法につながるものである。 中心粒子供給特性を支配する固体水素ペレットの溶発挙動を定量的に明らかにする為に,溶発プラズモイドからの発光スペクトルを求める理論計算コードを構築した.本計算コードでは,バルマー線の輻射再吸収に関する効果の組み込みを行っており,観測されるバルマー線強度比と比較することにより,プラズモイドの温度・密度といった内部情報だけではなく,2次元イメージング計測のみでは計測できなかったプラズモイドの体積も推定することを可能とした. プラズマ非接触化によるプラズマ対向機器への熱負荷低減に関しては,これまでの実験において,外部摂動磁場印加とガスパフによる周辺粒子供給制御によって再現性良く制御できることを示してきた.新たに導入した超音速ガスパフを用いて局所的かつパルス的な周辺粒子供給を行うと,さらに効率良く周辺プラズマ温度のみを低下させることが可能となり,プラズマ非接触化の制御がより容易になると同時に,粒子供給過多によるコアプラズマへの悪影響を低減させることが可能となった.また,周辺プラズマ中における不純物の空間分布を測定し,モデリングによる不純物輸送予測の妥当性を確認した.
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