研究概要 |
高速大容量の光信号を自在にパス制御する光クロスコネクト技術は,長距離伝送や中短距離光ネットワークなどにおける基本技術である.しかし,現在のLSIを用いた電子的ルーティングは処理速度と膨大な消費電力のために限界に達しつつあり,光信号を光のままでルーティングする光-光制御技術が,今後不可欠になると予想される.この問題を解決するには,高速光信号を別の高速光信号によって,しかも波長情報を有効に利用して1ns以下の高速で制御する小型集積化全光演算制御デバイスが必要になる.しかしながら,この実現に不可欠な,多波長を自在に用いてルーティング,スイッチング,レベルリミット,ゲート,等の高速演算処理を実現するデバイスとその集積化は未開拓である 本研究では,半導体量子井戸による光増幅器(SOA)導波路によって構成したマイクロリング共振器によって,SOA中での信号光自身の自己位相変調(SPM)や入力信号光(ポンプ光)と制御光間の相互利得変調(XGM)および相互位相変調(XPM)を共振器によって増強して高速な光-光変調を実現する.さらにはレーザ発振時の注入同期を利用したフリップフロップ回路を実現して,高速光パルス信号のリミッタなどの波形整形やインバータ動作,および2入力信号のXOR,光フリップフロップなどの基本演算を,波長チャネルを用いて可能にする半導体マイクロリングプロセッサの実現とその集積化を目的とする.
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