研究概要 |
我々は平成16年度に採択された基盤研究Sの成果として、微細でturnoverが非常に速いアクチン繊維(chloroplast actinと命名(以下cp-actinと略す))で構成された構造が葉緑体上に存在し、葉緑体の移動に必須であること、さらにcp-actinの重合にはCHUP1タンパク質が関与することをすることを発見した。本年度はまず、これらの構造がより詳細に、より容易に観察できるような系の確立を行った。まず共焦点顕微鏡の購入に当たり、国内国外4社の製品について、GFPで可視化したcp-actinの見え方を指標にして、徹底的な比較検討を行い、ライカのSP5を購入した。この機種の使用によって、従来我々が使用していた、微光束照射が可能なように改造した特注Zeiss蛍光顕微鏡では容易には見られなかった構造が、簡単に観察することができるようになった。これまでは葉の葉柄近傍から得た切片や、柵状組織の細胞から調整したプロトプラストをスライドガラスに貼付けるなど、人為的な処理を加えないとなかなか見えなかったcp-actinやCHUP1の構造が、生葉の柵状組織で常に観察することが可能になった。次ぎにcp-actinとCHUP1が同時に観察可能なように、それぞれが異なる蛍光色によって識別できるように、CHUP1:YFPのラインの作成を行い,現在GFP-talinのラインとの掛け合わせを行っている。平行して、今までは解像力等の問題で詳細が不明だったcp-actinの光条件下での挙動、CEUP1タンパク質の細胞内分布等の詳細な観察を行った。 また,複数の微光束を細胞内の異なる場所に連続的に照射し、葉緑体の運動様式を解析した。
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