研究課題/領域番号 |
20227001
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
和田 正三 九州大学, 大学院・理学研究院, 特任教授 (60011681)
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研究分担者 |
門田 明雄 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (60152758)
鐘ケ江 健 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (70264588)
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キーワード | 葉緑体 / 運動 / シロイヌナズナ / アクチン / 逃避運動 |
研究概要 |
葉緑体は弱光には集まり(集合反応)、強光からは逃避する(逃避反応)。我々はシロイヌナズナにおいて、青色光受容体フォトトロピンが葉緑体外包膜上に存在するCHUP1タンパク質を介して葉緑体と細胞膜間に存在するアクチン繊維(cp-actin繊維)を制御することによって、葉緑体の移動方向や速度が調節されていることを明らかにしてきた。本年度は、葉緑体運動の速度を制御する因子として、コイルドコイル構造を持つ2つのタンパク質WEB1(weak chloroplast movement under blue light1)とPMI2(plastid movement impaired 2)を同定し、その細胞内分布と機能解析を行なった。酵母Two-Hybridの系によりWEB1とPMI2の結合が検出され、さらにBiFC法によりその結合が細胞質で起こることが確認された。web1、pmi2両変異体は、特に逃避反応に異常を示し、葉緑体の移動速度が野生型に比べて遅かった。野生型ではcp-actin繊維は強光照射直後に一過的に消失した後、移動方向前端側に再度が現れるが、web1とpmi2では共に強光照射直後のcp-actin繊維の一過的消失は見られず、cp-actin繊維の再編成も起きなかった。これらの結果から、WEB1とPMI2はcp-actin繊維を制御することによって葉緑体運動の速度を調節していることが示唆された。またシダ前葉体細胞及びヒメツリガネゴケ原糸体における葉緑体運動でも、シロイヌナズナ同様のcp-actin繊維が葉緑体移動方向前方に現れることが確認され、葉緑体運動におけるcp-actin繊維の普遍性が明らかになった。
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