視物質は視細胞の光シグナル伝達系で最初に光を受容する機能性タンパク質であり、その分子特性の多様化は、視細胞機能の多様化の一つの要因となると考えられている。視物質の分子特性をin vitroで比較検討すると、それぞれが含まれる視細胞の生理的反応とは直接関係のない分子特性の違いも観測される。そこで、どのような分子特性の違いが実際の細胞機能の違いを生み出しているのかが重要な課題となっていた。また、視物質を含むオプシン類は分子進化の過程で様々に多様化し、種々の機能を果たしていると考えられていたが、それらの分子メカニズムの解析が今後の問題として残されていた。 そこで本研究では、桿体視物質(ロドプシン)と錐体視物質について、視細胞応答に直接関わる分子特性を比較解析により決定することを目指し、また、種々のオプシン類の分子特性を解析し、生理機能との相関を検討することを目的とした。これらを通じて、進化や多様性の原因となる機能性タンパク質の機能進化メカニズムを理解する。
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