研究概要 |
研究開始時点で,1219のマーカーにより,全ゲノム配列の86%,696のscaffold上の336.7Mbについて染色体上の位置情報を与える詳細な連鎖地図を完成させていた.今年度さらに別系統の約500個体の連鎖解析を加えることで,全ゲノムの72%についてその方向も明らかにすることができた.この連鎖地図には,19017個の予想遺伝子が位置づけられており,本研究の重要な資産となっている. トラフグとクサフグの交雑第1世代同士を掛け合わせて作出されたF2について,トラフグに特異的な寄生虫エラ虫(Hetarobothriumokamotoi)による攻撃試験を行った.3時間後に取り上げた結果,寄生数に大きな個体差はあったが,これまでの研究で寄生数に関わることが分かっている2つの遺伝子傾城とは相関がみられず,それらの領域はその後の脱落に関わっているものと推定され,現在解析中である. 耐病性は免疫系に依存するものと考えられる.今年度の研究で,侵入した病原生物を最初にとらえ,その情報をT細胞に提示する抗原提示細胞に焦点を絞り,細胞膜上にB7ファミリー分子を発現する細胞として魚類で初めて特定することができた. F2の体サイズについてをも連鎖群1の特定の領域と極めて強い相関があることがわかった.今後,トラフグ内のサイズ差に関与するかどうかを検討する必要がある. 行動様式に関するしては,活発なトラフグ,不活発なクサフグ,そして大きな個体差を示すF2という傾向が明瞭に示された.12項目からなる行動様式を記録し,主成分分析を行った結果,第1主成分により大部分説明できることから,行動は比較的少数の遺伝子により規定されるものと推定され,現在連鎖解析を進めているところである.さらに,F2ではなくトラフグを用いて,ストレスを与えた時の血中コルチゾール上昇の違いから,ストレス耐性を決める領域の解析している,
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