研究課題
本研究は、プレッシャープローブで採集した細胞溶液を探針エレクトロスプレーにより直接質量分析するシステムを開発し、植物工場で使用する植物生理情報を制御要素として温度、湿度、培養液濃度、給液量、日射量などを最適化する農業環塊制御を行う新しいスピーキング・プラント・アプローチ(Speaking Plant Approach) (SPA)法を創成することを目的としている。探針エレクトロスプレーをオンライン化することにより、タンパク質の消化分解の過程を明らかにすることができた。チトクロームCをペプシン消化およびトリプシン消化を行うことで、フラグメント化する過程のリアルタイム計測に成功した。探針の先端を50ナノメートルの小さなものにすることが可能となり、サンプル消費がほとんどなしに、30秒間隔で質量分析を可能にし、リアルタイム質量分析を実現した。植物細胞での探針エレクトロスプレーイオン化による成分組成同定の結果を、プレッシャープローブで採集した細胞溶液のマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)でのチェックを行う手法を改善した。プレッシャープローブで採集した細胞溶液体積の計測精度を向上させ、ピコリットル以下でも操作をすることができるように改善した。正確に採集したサンプルの体積を計測する技術は、サンプル内に含まれる組成分子の定量のためには、必須の作業であり、さらに、分子のイオン化条件を決定するためには必要な情報である。プレッシャープローブを用いての植物細胞操作におけるサンプル体積の計測精度を向上させたことから、これまで質量分析で同定してきた分子の定量が可能であるのか、研究を進める基盤が整った。今後、プレッシャープローブの先端への高電圧の印加を行うことで、細胞溶液サンプルの直接イオン化を試み、探針エレクトロスプレーイオン化と並行して、同定と定量が可能であるのか、研究を進展させる予定である。
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