外界と直接向き合う消化管とこれに直結する肝臓には高度の免疫機構が備わっているが、最近これらの臓器が連携して生体防御に当たると考えられるようになり、腸肝軸(Gut-Liver Axis)と呼ばれて注目されている。従来のこの領域における免疫学研究では、免疫担当細胞そのものの働きに関心が寄せられていた。しかし、炎症等の刺激により、腸肝軸に圧倒的な細胞容積でしかも連続的に配置されている間葉系細胞がどの様に変化するのか、特に免疫担当細胞とどの様に相互作用するかは明らかにされていない。 本研究では、「間葉系細胞群は免疫細胞群に物理的な場を提供するだけではなく免疫細胞の活性維持のための重要な環境をも提供し、自らも生体防御機構に積極的に関わっている」との仮説を立て、腸肝軸に展開する免疫機構の解明に取り組む。
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