研究課題/領域番号 |
20229001
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研究機関 | 公益財団法人微生物化学研究会 |
研究代表者 |
柴崎 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長 (30112767)
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研究分担者 |
熊谷 直哉 微生物化学研究所, 有機合成研究部, 主任研究員 (40431887)
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キーワード | 不斉触媒 / 原子効率 / プロトン移動型反応 / 医薬品合成 / 不斉合成 / 金属触媒 |
研究概要 |
アミド型配位子からなる異種2核金属触媒を用いるanti選択的触媒的不斉ニトロアルドール反応のアプリケーションとして、zanamivir(relenza)の純化学合成を達成した。第一ステップに用いるニトロアルドール反応は、59gスケールでも実験室で容易に実施可能で、アミド配位子は96%回収可能であることから、大規模合成にも堪えうる不斉炭素-炭素結合形成反応であると言える。現在、zanamivirへの各合成ステップの最適化を行い、大規模合成・誘導体合成を視野に入れて研究を展開している。前年度までに開発したチオアミドの触媒的不斉ダイレクトアルドール反応は、atorvastatin(lipitol)の短工程不斉合成に応用展開し、本研究計画の最終段階であり、独自の不斉触媒技術の医薬品候補化合物群の効率的不斉合成研究が順調に進行している。また、新規不斉触媒反応として、anti選択的なチオラクタムの触媒的不斉ダイレクトアルドール反応、チオアミドの触媒的不斉共役付加反応、α-スルファニルラクトンを求核種前駆体とする触媒的不斉ダイレクトアルドール反応の開発に至っている。特にa-スルファニルラクトンを用いる反応は、C型肝炎ウイルス増殖抑制剤の創成を志向したserine palmitoyl transferase(SPT)阻害剤の迅速不斉合成に応用可能で、既に2種の阻害剤の不斉合成を達成している。本ウイルス疾患の世界的重要性を鑑み、今後本反応を利用するSPT阻害剤のケミカルバイオロジーを推進していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画を上回る反応開発とその医薬品候補化合物群の効率的不斉合成への応用に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、新規不斉触媒反応の開発と医薬品候補化合物群の効率的不斉合成を推進していく。最終年度にあたり、合成への応用を重点的に検討する予定である。
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