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2011 年度 実績報告書

赤痢菌の腸粘膜バリアー感染戦略の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20229006
研究機関東京大学

研究代表者

笹川 千尋  東京大学, 医科学研究所, 教授 (70114494)

キーワード細菌感染 / 病原因子 / 自然免疫 / 赤痢菌 / エフェクター / 腸管 / 上皮細胞 / 粘膜
研究概要

赤痢菌をはじめとする粘膜病原細菌は、III型分泌装置を通じてエフェクターを宿主細胞へ分泌し、感染に必要な宿主細胞機能を獲得する。一方、腸管粘膜には上皮バリアーと免疫バリアーを主体とする固有の生体防御機構が構築され、微生物の侵入を阻止している。赤痢菌をはじめとする粘膜病原細菌は、これらバリアー機能を巧みに回避・抑制して、粘膜上皮へ感染・定着するが、その感染戦略の全容は不明な点が多い。
研究計画I.OspC3エフェクターによる上皮細胞死抑制機構の解明:赤痢菌が上皮細胞へ感染するとCaspase-4が活性化され炎症性サイトカインの産生とともに最終的にピロプトーシスが誘導され細胞死が引き起こされることが明らかとなった。OspC3にはこれを強力に阻止する活性があることが判明したため、NLRインフラマソーム(NLRC3,NLRC4等)、およびCaspase-1からCaspase-10までのカスパーゼの各メンバーに対する結合性および活性阻害の有無を、免疫沈降法、各種カスパーゼ阻害剤、酵素活性等により精査した。その結果、OspC3はCaspase-4へ特異的に結合しその活性化を阻止することが示された。
研究計画II.赤痢菌の上皮細胞間拡散機構の解明:赤痢菌を包む突起が隣接細胞により取り込まれ拡散する機構を、clathrin依存的なエンドサイトーシスとの関係で精査した結果、PI3-kinase,clathrin,Dynamin-2,Epsin-1が、菌を包む突起の隣接細胞におけるエンドサイトーシスに機能的に関わっていることが明らかとなった。
研究計画III.赤痢菌のマクロファージの細胞死誘導の解明:赤痢菌はM細胞のポケット領域に常在するマクロファージへ侵入して細胞を破壊する。赤痢菌のIpaH7.8はE3ユビキチンリガーゼ活性を有するエフェクターであり、マクロファージ細胞死誘導に不可欠である。IpaH7.8はマクロファージのglomulinを標的にして、E3リガーゼ活性に依存的にインフラマソームを活性化してピロプトーシスを誘発することを明らかにした。以上の研究により病原菌の腸粘膜バリアー回避に関わる基本的な戦略の一端が解明された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2011 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] l death and infection : a double-edged sword for host and pathogen surviv2011

    • 著者名/発表者名
      Ashida, H., Sasakawa, C., et al
    • 雑誌名

      Journal of cell biology

      巻: (in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The role of Tecprl in selective autophagy as a cargo receptor2011

    • 著者名/発表者名
      Ogawa, M., Sasakawa, C., et al
    • 雑誌名

      Autophagy

      巻: 7(in press)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Manipulation of autophagy by bacteria for their own benefit2011

    • 著者名/発表者名
      Ogawa, M., Sasakawa, C., et al
    • 雑誌名

      Microbiol Immunol

      巻: 55 ページ: 459-71

    • 査読あり
  • [備考]

    • URL

      http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/bac/hp/mainpage.html

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公開日: 2013-06-26  

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