研究課題/領域番号 |
20229007
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菊谷 仁 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (80161412)
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研究分担者 |
安居 輝人 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (60283074)
水井 理之 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (30423106)
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キーワード | セマフォリン / Plexin / 樹状細胞 / B細胞 |
研究概要 |
セマフォリンファミリーは神経軸策に対して化学反発活性を発揮する分子群であるが、多くのメンバーが免疾反応の制御においても機能していることが明らかになっており、セマフォリンとその受容体が自己免疫疾患やアレルギー疾患などの免疫病の発症や病態にも深く関与している可能性が考えられる。 セマフォリン受容体の一つPlexin-Alを欠損するマウスにおいてT細胞免疫反応が低下していることをこれまでに明らかにしてきた。本年度は、このT細胞免疫反応の低下の原因の一つが、樹状細胞の輸入リンパ管への移行障害であることを明らかにした。Plexin-Al欠損マウスを用いて、末梢樹状細胞のリンパ組織への移動を解析したところ、Plexin-Al欠損樹状細胞は輸入リンパ管の近傍まで移動できるがリンパ管の内腔に移行できないことが判った。同様の異常は、Sema3A欠損マウスやSema3Aに結合できない変異Neuropilin-1を発現するマウスでも認められることやリンパ内皮細胞がSema3Aを産生していることなどから、Neuropilin-1-Plexin-Al複合体とそのリガンドSema3Aの相互作用が末梢の樹状細胞が輸入リンパ管の内腔側に移行する際に必須であると考えられる。また、Plexin-Alが遊走中の樹状細胞の後部で強く発現することや、Sema3Aが樹状細胞のアクトミオシンの活性化を誘導して3次元マトリクス中での遊走を亢進させることも明らかとなった。 多くのセマフォリン分子は細胞内の小分子GTPaseの制御を介して細胞の運動を制御していることが知られている。リンパ球におけるGTPaseの役割を解析する過程で、Rho GTPaseに結合することが知られているプロテインキナーゼN1(PKN1)が、セマフォリンやRho非依存的で今まで知られていなかった全く新しい分子機構でAktの機能を抑制することを見出した。またPKN1欠損マウスを作成しその形質を解析したところ、PKNI非存在下ではAktの恒常的活性化、B細胞の抗原刺激に対する過剰反応、胚中心の過形成が認められ、PKN1によるAktの制御がB細胞の恒常性の維持に必須であるとが明らかとなった。
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