研究課題
糖・脂質・エネルギー代謝は生命発現にとって極めて重要である。インスリン(Ins)とアディボネクチン(Ad)はこれら代謝制御の2大経路である。我国で死因一仕の心血管疾患の主因である糖尿病・メタポリックシンドロームの激増の原因解明と治療法開発には、代謝制御とその破綻の統合的理解が不可欠である。本研究では、各組織でのAd作用を解明出来る組織特異的Ad受容体(AdipoR)欠損マウスとIns作用を各組織でプライマリーに欠損させた効果を解明出来る組織特異的Ins受容体基質(IRS)欠損マウスを駆使し、中枢・末梢の各組織及び全身における AdとIns作用の全容解明を中心にして、代謝制御機構の統合的理解とその破綻の改善法開発に至るまでの(1)代謝制御における臓器間クロストークのメカニズム解明及び(2)代謝制御における細胞機能・恒常性のメカニズムの解明を目的とする。(1)代謝制御における臓器間クロストークのメカニズム解明:全身のIRS、及びAdipoR欠損マウスに加え各組織特異的欠損マウスを作製し、解析を開始した。特に骨格筋におけるAdipoRl経路がミトコンドリアの数と機能に重要であることを明らかに、した。このことは、現在ヒトの糖尿病・Ins抵抗性の原因と考えられている骨格筋ミトコンドリア数と機能の低下が、肥満に伴う脂肪細胞からのAdの分泌低下、すなわち脂肪組織と骨格筋の間でのクロストークによって引き起こされている、という事を意味する画期的な新知見である(未発表データ)。(2)代謝制御における細胞機能・恒常性のメカニズムの解明:既に作製済のIRS or AdipoR各組織特異的欠損マウスにおいて、それぞれの組織における糖・脂質・エネルギー代謝や動脈硬化に関する表現型を解析した。その他の各組織特異的欠損マウスにおいては、作製を完了した。特に血管内皮におけるAdipoR2が抗動脈硬化作用を有すること、また、血管内皮におけるIRS-2がインスリン感受性に重要な役割を果たすことを明らかにした(未発表データ)。 また、様々な細胞内ストレス応答の計時的変化をin vivoで解析するために紳胞内ストレス応答性発光インジケーターマウスを作製し、解析を開始した。
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