研究課題
呼吸性移動をマージンとしてITVに含めて治療している従来法における治療計画、線量計算結果の妥当性を動体ファントムを用いた実験により評価したところ、4DCTの平均画像に対して線量計算した治療計画と実測による線量分布では、動体下における模擬腫瘍の線量は静止時と同等であったが、模擬腫瘍外部の領域で95%以上の高線量が照射される体積が静止時の1.5倍となることがあり、治療計画においてリスク臓器の線量を正確に評価するためには4次元線量計算が必要であり、呼吸同期照射や動体追尾照射によりリスク臓器への線量低減が可能であることを示した。また、肺腫瘍を追尾照射した際に生じると想定される中心線量の変動を、腫瘍サイズおよび呼吸性移動量が異なる9つのパターンにおいてシミュレーションを行った結果、追尾照射により生じる中心線量変動は3%以内と小さいことを確認した。肺癌の定位放射線治療における予後因子を検討したところ、腫瘍径と性別が重要であることが判明した。2cm以上のT1b腫瘍における予後改善が今後の課題であると考えられた。また、膵臓癌の低酸素領域を[^<18>F]FMISO-PETで評価し、臨床的意義を確立するにあたり、[^<18>F]FMISO-PETは低酸素イメージングの手法として知られているが、膵臓癌に関する報告はほとんど無い。そこでまず撮像プロトコールの確立のためのパイロット研究を計画し、平成22年7月より開始した。2011年3月末までに2例の撮像を行い、撮像上の問題点や画像処理方法などについて検討している。引き続き数例の症例を加えて検討を重ね、今後の本格的な臨床研究の資料とする予定である。頸部食道癌については多施設臨床試験を目指した検討を開始し、悪性胸膜中皮腫はプロトコール症例の集積中である。新照射法を前立腺癌治療に応用する基礎検討として従来のIMRTの治療成績を明らかにした。
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