研究課題/領域番号 |
20229009
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
平岡 眞寛 京都大学, 医学研究科, 教授 (70173218)
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研究分担者 |
溝脇 尚志 京都大学, 医学研究科, 講師 (90314210)
門前 一 京都大学, 医学研究科, 特定准教授 (10611593)
千田 道雄 (財)先端医療振興財団, 先端医療センター映像医療研究開発部門, 部門長 (00216558)
小久保 雅樹 (財)先端医療振興財団, 先端医療センター映像医学研究開発部門・放射線治療研究グループ, グループリーダー (90283605)
澤田 晃 京都医療科学大学, 医療科学部, 教授 (80543446)
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キーワード | 癌 / 放射線治療 / トランスレーショナルリサーチ |
研究概要 |
MHI-TM2000装置の照射ヘッドに対して、実測と2.0%以内の精度で合致するモンテカルロ線量計算システムを開発した。また、当該システムを用いた動体追尾照射のための振り子照射計算モデルを考案し、軸外線量比(OCR)が実測値と平均1.1%以内の精度で合致することを確認した。次に、頭尾方向に正弦波駆動ファントムに対し追尾照射した結果誤差が2.1%以内であり本計算モデルが適切な精度を有することを確認した。更に、非線形処理で最大呼気位相へ合算した四次元線量分布およびDVHを算出する処理フローを策定した。 肺癌定位放射線治療後の肺臓炎に関与する有意な線量体積因子(PTV体積≧37.7ccおよび正常肺のV20≧4.2%)を見いだした。 膵癌に対する呼気息止め法IMRTを用いた線量増加試験に4例登録し、引き続き試験の継続、推奨投与線量を決定する予定である。 膵臓癌の低酸素領域を18F-fluoromisonidazole(18F-FMISO)を使用したpositron emission tomography(PET)で評価して臨床的意義を確立することを目指し、2例を対象とした18F-FMISO PET検査を行い、18F-fluorodeoxyglucose(18F-FDG)検査結果と比較した。PET/CT装置に付帯する呼吸同期装置の解析による動体追尾放射線治療への応用の可能性の検討、手術標本のhypoxia inducible factor-1(HIF-1)染色との比較検討を行った結果、放射線治療への応用に向けた改善点を明らかとした。 頸部食道癌に対する強度変調放射線治療の多施設臨床試験についてはプロトコルが概ね完成され、来年度の試験開始の予定である。 本研究で開発した三次元一筆書き照射法を実機で実現するための基礎評価を行い、治療装置および治療計画装置のプログラム改修を行い、ベータ版を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
呼吸性動態に伴う臓器移動量に応じて照射ヘッドを振りながら照射する動体追尾照射において、その照射法に対応する四次元モンテカルロ線量計算システムを開発した。これにより、腫瘍および周辺リスク臓器の呼吸性移動等の動きを組込む四次元治療の実現に近づいた。また、新規照射法である一筆書き照射の実現に向けたプログラム改修を施行し、実現に向けて計画通り推移している。加えて、臨床試験も症例集積やプロトコール作成が完了し、おおむね順調な進捗状況である。
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今後の研究の推進方策 |
四次元線量計算に関してスパコンを用いた高速化を図ることにより、動体追尾照射のボトルネックの一つを解消する。また、これにより動体追尾照射を進化させたアダプティブ治療への足がかりとなることが期待できる。 膵臓癌の低酸素領域を18F-FMISOを使用したPET評価の臨床的意義については、HIF-1染色との関連性について症例を重ねて検討していく。 新規照射法である三次元一筆書き照射については、今年度作成したベータプログラムをファントム実験にて検証・改良し、臨床適応可能なプログラム完成を目指す。 臨床試験については、症例集積に務める。
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