研究課題
本年度は、昨年度検討した群コンピューティングの実現に向けてプログラミングモデルについての具体的な検討を行い、いくつかの観点から全体プログラミングに関する研究開発を行った。これまで本研究プロジェクトでは、ユビキタス環境においてプログラミングを行うために、(1)ルール処理エンジン生成のためのメタプログラミング、(2)実行ルールのためのグローバルプログラミング、(3)環境適応のためのローカルプログラミングの三つの観点からのプログラミングに焦点を当てているが、これらに対して、Adaや並列論理プログラミング言語、演繹オブジェクト指向プログラミング言語などで用いられているアプローチを参考にして、以下のような研究成果を得た。・メタプログラミングでは、対象となる情報を処理できる様々なルール処理エンジンを生成できる必要がある。ルール仕様の記述、ルール処理エンジンの記述、ルール全体の動作に関する検証などいくつかの簡単からのメタブログラミングについての要求事項を抽出した。特にこれを具現化するために、ユビキタス環境の多様性を重視して、「におい」「味」「振動」といった五感情報を処理する様々な小型デバイスを作成し、環境・状況認識への適用を試みた。・グローバルプログラミングでは、多くのデバイスを一斉に制御するメカニズムに焦点を当てた。プロジェクタによる一斉制御が可能な「ユビキタス光デバイス」の設計と実装を行い、グローバルプログラミングの有用性を確認した。実装したデバイスは神戸ルミナリエのイベントステージにおいて運用している。また、ネットワークに接続された端末や移助端末も含めてプログラムを全体に配信するための方式についても研究開発を行った。こちらのシステムでも効率的な放送による制御メカニズムを実現している。・様々な環境に適応できるローカルプログラミングを実現に向けて、バイクレースのレース状況を把握するシステムを作成した際に得られた知見をまとめた。本年度は多数のコンピュータを「群」としてプログラミングするいくつかの個別のシステム・環境構築を行うことができたので、次年度以降これらを整理しなおし、プログラミングパラダイムとして汎用性の高いプラットホームとしてゆく予定である。
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