研究課題
電子的に文書を閲覧する際、語学能力や知識の不足により、文書の内容を完全には理解することができなかったり、解釈判断に困ることがある。本研究の目的は、閲覧中の文書に対して動的に別の関連情報を示すことにより、ユーザのこのような閲覧上の問題に対する読解支援を行うことである。申請当初、web mash upを実現するクライアントユーザインターフェースと、応用の軸から語学学習、剽窃検知、購買支援の三つの応用サーバを構築することを目標とした。ユーザインターフェースについては、1年目にクライアントの機能は完成し、共に研究した学生が起業することで実用化が進んだ。さらに、適用範囲を当初のコンピュータ画面上のweb文書に限らず、今日的なiPadやスマートフォンなども対象とし、また音声や画像も関連情報として提示することも含めている。「今ここ」の情報抽出の観点から、ユーザの置かれた文脈を活用し、適切な付加情報を効果的に与えるユーザインターフェースに関する研究を進めている。特に、今年度はiPad上での異言語コミュニケーションを画像を提示することで支援するインターフェースを提案し、国際会議論文賞を受賞した。一方で、応用の方は、三つのテーマに共通する問題があることがわかり、研究の視点をその共通の問題に変更して進めている。別の関連情報を動的に提示するには、異種の情報を餌析して関連付ける必要がある。この共通の問題の観点から、これまで言語横断クラスタリング、言語非依存の解析処理など複数のテーマを扱った。特に、今年度は、異種の言語が混交する文書に対して、文書を種別に切り分ける方法を探究し、国際会議に論文が採録となった。このように、当初より研究の視点に変更があったものの、申請課題の範囲内で一定の成果が上がり、国内外の論文誌や会議での発表を行い、また今後も予定している。
2: おおむね順調に進展している
研究の若干の方針変更、代表者の健康上の問題、代表者の異動などがあったため、申請時と同じ環境で同じように研究が進んでいるわけではない。しかし、関連するテーマの範囲で当初の予定と同等レベルの成果は上がっている。
最終年度は代表者の異動があるため、共に研究する人員が変更となるなど、研究上の体制が変わる。このため、本年度の研究を完成させ、また新しい研究環境下に適応的に研究を進める。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (1件)
Proceedings of Annual Conference for Computational Linguistics
巻: (3月採録7月発表)
Journal of Quantitative Linguistics
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Proceedings of International Joint Conference on Artificial Intelligence
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自然言語処理
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Proceedings of the Intelligent User Interface
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Proceedings of International Conference on Natural Language Processing
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