研究課題/領域番号 |
20240008
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
石井 久美子 (田中 久美子) 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10323528)
|
研究期間 (年度) |
2008-04-08 – 2013-03-31
|
キーワード | 自然言語 / ユーザインターフェース / 情報検索 |
研究概要 |
Web文書の閲覧時に、閲覧中の文書の用いる言語や内容の専門性を原因として、ユーザは文書の内容を理解することができないことがある。本研究では、ブラウザ内に表示されている文書に対してユーザがクリックするなどのアクションをとると、その部分に関する補助的な情報をインターネットから別に得て提供する枠組みに関する提案を行った。研究はユーザインターフェースに関するものとサーバ側のサービスに関するものに二分される。 前者に関してはwebユーザインターフェース研究が主目的となる。成果としては、web mash upクライアントを多角的に研究し、当初共に研究を行った学生が起業することで、実用化が行われた。さらに、申請当初の計画には含めてはいなかったが、関連研究として、iPadなど携帯端末上で動作するコミュニケーション支援のためのユーザインターフェースを複数提案し、学会からの受賞などに至った。うち一つは現在、論文を投稿中の状況にあり、最終年度に引き続き対外発表成果が見込まれる。 後者に関しては、申請当初は、外国語文書の読解支援や、サイトの安全性に関する動的な指摘を行うサービスなど具体的な応用サービスを目指した。しかし、応用の切り口のアプローチでは分野の関連研究の進捗などをふまえてさまざまな限界が生じた。このため、web mash upサーバを構築する上で必要な共通の要素技術の観点から研究計画を練り直し、3年目以降はそれに沿って計画を進めた。Web mash upは文書の部分に関する局所的な処理を要することから、特に、異種文書部分を自動で切り分ける技術や、異種文書部分にロバストな言語処理手法などが必要となる。切り分けについては順当に成果が挙がり、有数の国際学会で今年発表を行い、現在雑誌論文としてまとめているところである。また、異種文書部分にロバストな解析処理についても、現在論文をまとめている最中である。総じて、研究期間を終える時点では、申請当時の予定相当かそれ以上の成果を挙げることができると予想される。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二つのテーマのうち、ユーザインターフェースの方は当初の計画よりも早く実用化され、当初の計画を超えた成果が挙がった。一方で、サーバに関する研究は、分野の中での関連研究の進み具合から、当初の研究計画を見直す必要があった。当初の応用の観点からのアプローチではなく、web mash upを実現する上で必要なサーバ側に共通する要素技術の観点からの研究を行った。期間内に申請者の病気や勤務先の異動などの出来事があったが、研究は順調に進められ、期待される成果が挙がった。
|
今後の研究の推進方策 |
この基盤Aは本来であれば、平成24年度が最終年度であるが、3月に申請者が出産を予定しており、年度を跨る形で研究期間を一時中断したため、平成25年度が最終年度となる。とはいえ、実際の研究期間自体は5年目後半にあたり、申請者も無事に研究期間を終えるべく研究を順調に進めてきており、また研究を一貫して継続させつつも一新して研究を始める準備も整えてきた。現在、新規課題を最終年度前年度申請中であり、これが採択になった場合には、復帰後は新規申請課題で研究に邁進したいとの意思がある。新規申請課題は、本基盤Aで複数のサービスを構築することを模索する中で浮かんだ新しいアイデアに基づく。本基盤Aの中で得られたUIに関する知見や、知識抽出に有用な要素技術は、新規申請課題の中でも用いられ、さらなる発展が見込まれる。また、新規課題が不採録の場合にも、文書にロバストな解析処理や、UIに関して残っている対外発表を済ませて、研究期間終える予定である。
|