研究課題/領域番号 |
20240016
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
井上 克巳 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (10252321)
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研究分担者 |
佐藤 泰介 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (90272690)
亀谷 由隆 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (60361789)
岩沼 宏治 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30176557)
鍋島 英知 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (10334848)
坂間 千秋 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20273873)
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キーワード | 人工知能 / 推論 / システム生物学 / 仮説発見 / 結論発見 / 確率推論 / 帰納論理プログラミング / アブダクション |
研究概要 |
本年度は次の(A)~(C)の研究分担にしたがって研究を進めた。 (A)仮説発見システムの開発(岩沼・鍋島・山本・井上) 結論発見プログラムSOLARの等式推論の性能向上に向けて、等号の部分評価法であるmodification法を再スタート型モデル消去法の枠組みで再構成し、理論的性質の考察とSOLAR実装時の性能評価を行い一定の性能改善を得た。また問題に応じて最適戦略を選択するポートフォリオ型探索戦略をSOLARに導入した。 SOLARを用いたメタアブダクションによるネットワーク補完方法を拡張し、正負の効果を持つリンクを補完する方法を開発した。また観測が変数を含む場合のアブダクションを効率よく解くために、分割統治法を一般化しタブロー節が変数を含む場合にも各サブゴールを独立して解けるようにした。さらに仮説生成に関する基礎として、逆伴意と逆包摂の関係および非再帰的な仮説の効率的生成について考察した。 (B)仮説選択システムの開発(佐藤・亀谷・坂間・井上) 論理に基づいた確率モデリングにおいて、確率モデルを命題論理式に変換する際に命題変数を順序付けした上でorder-encodingと呼ばれる変換手法を使うことで、よりコンパクトに変換できることを理論的・実験的に確認した。order-encodingと論理的制約に基づいたCBPMと呼ばれる確率モデリングの枠組みを組み合わせることにより、観測データから命題変数の確率を正しく学習できることも実験的に確認した。 また非確率的な仮説選択手法の確立に向けて、帰納推論能力の比較に関する研究、および生命現象に関係する行動モデルの定式化として不誠実な推論の論理に関する研究を行った。 (C)システム生物学における仮説発見(全員) 大腸菌の論理モデルを構築し代謝物質の変化に関する規則を熱力学方程式から導き、SOLARによるアブダクション結果を確率的にランク付けして状態推定を行うシステムを開発した。別の例としては、癌の遺伝子制御ネットワークにおける補完問題をメタアブダクションで解く方法について検討した。
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