研究分担者 |
佐藤 泰介 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (90272690)
亀谷 由隆 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (60361789)
岩沼 宏治 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30176557)
鍋島 英知 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (10334848)
坂間 千秋 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20273873)
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研究概要 |
本年度は本研究の最終年度にあたり,これまでに研究を進めてきた仮説発見と仮説選択のメカニズム,およびそれらのシステム生物学への応用を進め,研究の仕上げを行った.以下,これらの成果についてまとめる. ・仮説発見システム:等号を含む仮説発見の効率化と高度化のために,飽和型・下降型の等号定理証明における理論・技術について包括的調査と整理体系化を行い,現行のSOLARにおける等号書換順序の問題点を洗い出し改良法について検討した.また,SOLARに導入した分割統治法における部分解集合の統合時の計算量を軽減するため,トライを用いた統合手法を考案し従来法よりも計算量が大幅に改善できることを示した.命題論理における結論発見手法では,最新のSATソルバーを仮説の検証手法として利用することで,命題論理の結論発見で大きな性能向上が得られることを示した.命題論理における仮説発見についても考察し,DNF形式の仮説をモデル計算や主項計算に基づいて求める手法を提案した,最後に,説明的帰納推論における仮説発見技法である逆伴意法を論理的に簡略化した逆包摂手法に基づくCF帰納法を実装し評価実験を行った. ・仮説選択システム:統計的アブダクションのためのPRISM処理系を拡張し,最尤推定・阯P推定・変分ベイズ法・MCMC法など豊富な推論機能を提供する確率モデリング言語を開発した.より一般的なアブダクションを可能にするCBPMについては,サンプリングに基づいたパラメータ学習法を開発し学習実験により基本的性能を確認した.また,アブダクションのような論理的枠組みにおいて連続データを扱うために,最小記述長原理に基づきNMLをモデル選択スコアとするヒストグラム近似を用いた連続時系列データの離散化手法を提案し,雑音耐性が従来法より優れていることを実験で確認した.さらに,非確率的な仮説選択手法の一環として、異なる知識から帰納推論により生成される仮説を比較するための論理的枠組を構築し,生存と繁殖のために利己的に振舞う遺伝子をモデル化する不誠実な推論をアブダクションを使って計算する方式を開発した.・システム生物学への応用:(1)サイズの大きい生物ネットワークにおける推論を可能にするため,ネットワークを分割して解く方法を考案しSOLARで実装した.(2)遺伝子調節ネットワークの離散モデルであるブーリアンネットワークの論理プログラミング意味論を用いた定式化を行った.(3)酵母菌のグルコース抑制に関する現行モデルを論理的に精密化する手法を提案した。(4)モデル生成器を用いた代謝経路の解析手法を大腸菌の代謝経路に適用し,遺伝子欠損影響の予測を可能とした.
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