研究概要 |
この研究は、日本、韓国の主要法令を原語とその英訳で収集し、まず日韓のプロトタイプ法令標準辞書を自動的に生成し、韓国の法制研究院その他とタイアップして、辞書を洗練しようとするものである。さらに、近い将来に4ヶ国語標準翻訳辞書(英語、日本語、中国語、韓国語)開発し、あわせて、各国の研究者・実務家による多様な注釈(annotation)を追加するシステムを組み込んだ国際協力型の比較法研究の基盤を構築しようとするものである。今年度は、6月に日本の法制局に相当する大韓民国法制処(Ministry of Legislation)と法制研究院を訪問し、日本政府の法令英訳のIT基盤に関する講演を行い、ソウル大学法学部とも研究協力に関する意見交換を行った。10月には、名古屋で「法文の国際的共有を超えて」という国際会議を開催し、法制処代表、法令英訳専門家、本研究の代表者が報告を行った。その成果は、英文資料として近く公表される。 6月には、JURISIN2008という人工知能学会関連の国際会議で招待講演「Law as Engineering」を行った。2009年2月には、オーストラリアで開催された国際会議「Building Capacity for Free Access to Law in Asia」に招かれ、「A Strategy for Global Sharing of Legal Information: More Structured Approach」という報告を行った。これらの研究のほか、連携研究者と協力して、日本政府の「日本法令外国語訳データベースシステム」の開発を行なった。開発は,2009年3月に完了し、4月から法務省所管で一般公開された。日本法の法文に付加する注釈内容に関する研究も推進しており、明治時代の翻訳(箕作麟祥訳、フランス民法)のデジタル化を通じて、日本の法律用語の形成過程を情報技術の活用によって追跡する基礎研究を推進している。これらの研究の概要をまとめた「法令外国語訳プロジェクトの意義-日本法・法制度の国際通用性」を2009年に公表した。連携研究者もそれぞれに担当分野の研究を進めている。
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