脳の情報統合機構として重要な働きを持ち、感覚から認知まで、普遍的な機能であるバインディングという重要な脳機能に注目し、特に高次認知と記憶に関する機能を解明するため、海馬領域におけるバインディングの脳イメージング研究を目指す。 本年度は、バインディングの脳イメージング計測を可能とするEEGとMRIの同時記録実験系の改善を行った。GE製のMRI装置のTE時間精度のふらつきが原因となってノイズの削減が十分果たせない状態であることが判明したため、EEGへ重畳するMRIノイズの削減を、ハードウエアおよびソフトの両面からはかった。TRを用いたノイズ削減を可能にして測定システムを構築することで、目視では自然にみえるほどに、かなりの改善をはかれた。装置の問題としてTRにも時間精度のふらつきがあり、ノイズの削減が完全で無い状態であることには変わりないため、実測データに基づき、現状の同時計測システムのEEG信号の評価を行う必要があり、課題として検討中である。 上記作業と並列に、被験者の注意状況を把握・計測するため、MRI内で動作可能な視覚トラッキング装置の導入を今年度は図った。 計算論的モデル構築研究では、AshbyのSpeedモデルを手本に、Ashby型の神経回路シミュレーション実験環境をMatlabとSimulaを用いて構築した。GUIを用いた計算論モデルの構築が可能となった。
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