研究課題/領域番号 |
20240030
|
研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
山森 哲雄 基礎生物学研究所, 脳生物学研究部門, 教授 (80260206)
|
研究分担者 |
尾上 浩隆 独立行政法人理化学研究所, 分子イメージング科学研究センター・分子プローブ機能評価研究チーム, チームリーダー (80214196)
|
キーワード | 大脳皮質 / 領野 / 視覚野 / 連合野 / 遺伝子発現 / AAV / PET |
研究概要 |
当該年度(平成23年度)は、昨年度に引き続き、研究目的「霊長類の大脳皮質領野特異的に発現する遺伝子の解析により、霊長類の大脳皮質の特質を解明したいと考えている。その為、研究代表者の研究室で見出された視覚野特異的発現遺伝子と連合野特異的発現遺伝子の機能解析をウイルスによる遺伝子導入法を用いて、その機能を解明する。」を達成する為、AAVウイルスベクター法を用いた遺伝子導入法を用いて、以下の解析を行った(各項目は、研究実施計画の項目に対応)。 (1)視覚野特異的発現遺伝子の霊長類大脳皮質に於ける機能を明らかにする為に、マーモセット視覚野にshRNA法により、標的遺伝子の発現を制御しようとした。しかし、shRNAと同じベクターに導入したレポーター遺伝子の発現により、神経変性や神経細胞死が誘導されることが分った為、現在、その条件を検討中である。霊長類領野特異的遺伝子発現についても同様の問題が生じた為、合わせて検討中である。 (2)共同研究者の尾上と協力して、既に、TTXの片眼注入法により活動依存的遺伝子発現変化をinsitu hybridizationで報告している霊長類視覚野特異的発現遺伝子が、生体でも、日周変動するかどうかをPET法で計測して、その変動を実際に確認した。 (3)AAVウイルスベクター法の有効性を検証する為に、共同研究者の尾上と協力して、線条体におけるドパーミン受容体のshRNAによる発現制御を試み、shRNAで標的としたドパーミン受容体に特異的な遺伝子発現の低下をPET法で確認する事ができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究期間中に視覚野特異的発現遺伝子(5HT1B,5HT2A,OCC1/fstl1)の生理的機能が全体としてかなり明らかになってきた(Yamamori,T.,Progess in Neurobiology, 2001に総説として公表)。残された課題は、霊長類大脳皮質における遺伝子機能操作法を確立することである。
|
今後の研究の推進方策 |
霊長類大脳皮質における遺伝子機能操作法を確立する為、各種AAV血清型毒性の大脳皮質神経細胞に於ける評価、また、レポーター(GFP等)を発現させる為の各種プローモーターの評価を行いAAVウイルスによる大脳皮質神経細胞への遺伝子導入の至適条件を決定しつつある。
|