研究概要 |
我々は、前年度までに、霊長類の大脳皮質領野の形成機構と機能的意味を明らかにするため、霊長類の代表的領野に発現する遺伝子を網羅的に解析し、その結果、視覚野に特異的に発現する遺伝子群(5HT1B, 5HT2A, OCC1/fstl1, testican 1, testican2)と連合野に特異的に発現する遺伝子群(RBP, PNMA5, SPARC, SLIT1)を報告して来た(Yamamori, T. , Progress NeuroBiol., 94, 201-222, 2011)。本研究では、AAVウイルスベクターを用いた標的遺伝子に対する shRNA導入法により、loss of functionによるこれらの霊長類領野特異的遺伝子の発現評価法の確立と機能解析を行った。 当該年度は、共同研究者・連携研究者とともに、大脳基底核において、所定の遺伝子をAAV-shRNA法を用いてノックダウンし、 1)AAVの各種血清型の霊長類大脳皮質における有効性を検証した。2)shRNA導入の確認に用いるGFP等のレポーターの発現にどのようなプロモーターが最適かを決定した。 3)1)、2)の検証を行ったうえで、研究目的に記した視覚野と連合野に特異的に発現する遺伝子を標的とするshRNAを霊長類の大脳皮質に導入し、その遺伝子発現をPET法により確認した。 [研究分担者] 尾上浩隆 [連携研究者] 基礎生物学研究所・脳生物学研究部門・准教授・渡我部昭哉 ウイルスベクターを用いた遺伝子導入 生理学研究所・脳科学新領域開拓研究室・特任助教・小松勇介 領野特異的発現遺伝子解析
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