研究課題
当初研究では、シナプス後部に多量に存在するシグナル分子であるCa^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase(CaMKII)がF-actinを束化する事で細胞骨格の一員として機能する事を示し、そのシナプスの機能的、構造的可塑性との関係について理解する事を主目的としていた。その結果、次の事が明らかとなり、投稿準備中である。1.CaMKIIβはF-actin束化能を持ち、自己リン酸化がその活性を失わせた。2.CaMKIIβによって束化されたF-actinはcofilinによる切断やArp2/3による重合促進を受けにくい。これにより、CaMKIIβはシナプスでF-actinの安定化に働いていると考えられる.3.同定されたリン酸化部位のphosphoblock変異体を過剰発現すると優勢抑制体として働き、LTP誘導に伴うspineの構造変化が阻害された。これは、F-actin脱束化される事が構造可塑性に必要である事が判る.4.同様に、電気生理学的に記録されるLTPもphosphoblock変異体の過剰発現により抑制された。5.KR-CaMKIIβ融合蛋白を発現し、光を照射またはグルタミン酸アンケージ単独ではspineの形態は変化しなかった。が、両者を組み合わせると、spineが増大した.この事から、CaMKIIβによるアクチン束化はシナプス可塑性のゲートとして働いていると考えられた.
2: おおむね順調に進展している
ほぼ全ての仮説通りに実験が進んでいる。
24年度はKRの最終実験が必要であるのと、論文の出版にあたっては追加データーを要求されることが予想される。一方で、上記の通り、CaMKIIがF-actinから外れた時にF-actinに作用する分子であり、また情報伝達系の下流でもあるcofilinがactinと共に新規構造を取っている事を見いだした.そのため、cofilinを中心とした実験を行なっていく。
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