研究課題/領域番号 |
20240036
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
河田 光博 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (60112512)
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研究分担者 |
時田 美和子 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (10420712)
坂本 浩隆 京都府立医科大学, 医学研究科, 助教 (20363971)
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キーワード | エストロゲン受容体 / 視床下部 / 神経核 / 雌雄差 / 周期的変動 / GPR30 / 膜受容体 / 神経系 |
研究概要 |
中枢神経系は、豊富な血流量の供給にともなってさまざまな液性因子による制御を受けている。本研究では、性ホルモンの神経系に対する作用を、受容体、とくにゲノミック作用に関わる核受容体と、非ゲノミック作用に関わる膜受容体の二つの制御機構について、分子生物学、細胞組織化学、行動科学の多面的な観点から解析を進めた。核受容体であるエストロゲン受容体アルファ・ベータを発現させるニューロンからなる新しい神経核を視床下部において発見した。この核は弓状核と腹内側核の間に位置し、吻尾方向に長い形状を呈していた。明らかな構成細胞の数の雌雄差が見られ、オスにおいて優位な細胞数の増加が確認された。また血中のエストロゲン量にすばやく反応し、性周期において発現細胞数の周期的な変化が見られた。メスの卵巣を摘出すると細胞数は増加した。この細胞は同時にカルビンディンやGABAを発現させていた。一方、膜受容体であるGタンパク共役受容体(GPR30)についての解析も進み、脳内では海馬神経細胞、視床下部のオキシトシンニューロンに特異的に発現しており、そのmRNAも確認した。GRP30は細胞内では小胞体やゴルジ装置の膜に存在していることを電子顕微鏡的に明らかにした。またグリア細胞にもみられ、脊髄後根神経節細胞にも確認された。これらは脊髄後根から脊髄内にその陽性神経線維を進入させ、感覚情報に関わっていることが示された。
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