研究概要 |
1.コンジェニック系統の作製とてんかん感受性の評価(N,NER;F,F344の略):1)N.F-Ner2とN.F-Ner4を系統化した。2)ダブルコンジェニックラインのうち、N.F-marker6,marker10において、強直間代けいれんGTCが抑制された。それゆえ、marker6(Chr1)と10(Chr5)を含む領域にGTCに関与する遺伝子があると推定した。3)熱性けいれん刺激試験の結果、F.N-Ner1,Ner3,Scn1a系統はF-Scn1a系統と比べて、けいれん時の直腸温、けいれん持続時間に有意差はなかったが、けいれん誘発開始時間が有意に短縮され、Ner1とNer3がScn1aによる熱性けいれん感受性に遺伝的な影響を与える可能性が示唆された。 2.候補遺伝子機能の解析:Ner1領域内の候補遺伝子の一つについて、脳内各部位における蛋白発現量をウエスタンブロッド法により検討したが、その発現レベルには差は認められなかった。また、WJR(wild jumping/running)を呈する時期のNERについて脳内Fos蛋白発現を検討した結果、大脳皮質、扁桃核、嗅周/嗅内皮質において有意な上昇が認められ、GTC発症前にもこれら部位が過剰興奮していることが確認された。 3.遺伝子発現解析:NERについては、GTC発症前の6週齢と発症後の18週齢において、脳各部位(皮質、海馬、扁桃核)のサンプリングを終了した。 4.NERのゲノムBACクローンの整備:NERのBACライブラリーから、Ner1領域内の候補遺伝子を含む2個のBACクローンと、Ner3領域内の候補遺伝子を含む2個のBACクローンを単離した。
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