研究概要 |
1)強直間代けいれん非発症のダブルコンジェニック系統の行動観察 作製した強直間代けいれんGTCの非発症ダブルコンジェニック系統NER.F344-Ner1(marker6),Ner3(marker10)を約半年間観察した。まれにGTCを発症する例があったが、NERに比べて明らかに発作抑制系であることを確認した。 2)遺伝子発現解析 NERとGTC非発症系のダブルコンジェニック系統を用いて、Ner1座位とNer3座位の遺伝子について脳内遺伝子発現を比較した。評価部位は、NERで顕著な神経興奮が認められた扁桃核、海馬、後頭葉皮質の3部位とし、サンプリングの時期は、6週齢時と18週齢時、とした。得られた脳組織よりRNAを抽出し、SurePrintG3 Rat GE 8x60Kマイクロアレイ(アジレント社)を用いて遺伝子発現量を測定した。Ner1座位においては、NERの遺伝子発現量が2倍以下の遺伝子が3遺伝子(N1D1,N1D2,N1D3)、逆に、2倍以上の遺伝子が2遺伝子見出された(N1U1,N1U2)。Ner3座位に:おいては、NERの遺伝子発現量が2倍以下の1遺伝子(N3D1)と2倍以上の1遺伝子(N3U1)が見出された。 3)候補遺伝子の変異解析と機能解析 N3D1遺伝子はNERの脳内で遺伝子発現量と共に、タンパク質レベルでも発現量が低下していることを確認した。そのエクソン部分に変異はなかったが、イントロン内に内在性レトロウイルスの挿入変異を見出した。N3D1遺伝子は、強直間代けいれんの抑制に関わっている可能性がある。
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