研究課題
オーダーメード型人工骨に関しては、成長因子の一つであるFGF2を搭載した人工骨を作製し、ビーグル犬の頭蓋骨欠損(径2cm)に埋植したところ、高濃度の生理活性物質を投与した群で、放射線学的、組織学的に良好な骨形成が確認された。テトラポッド型人工骨に関しては、射出成型により製造した、均一な形状とサイズを持つ人工骨を作成した。この人工骨は、多孔体ブロックを粉砕して作った、従来用いられてきた形状もサイズも不均一な人工骨に比して、細胞や血管が侵入するのに都合の良い粒子間構造を持っていることを明らかにした。粒子間構造は、これまで直接評価されたことはなく、Mercury Porosimetryや2次元画像から間接的に推定されてきたため、実隙には細胞や血管がはいりこむことのできない構造まで過大に評価されていた。今回、正確に3次元的に評価するために、50~600マイクロメートルの高分子性球状粒子を疑似細胞として用いることで、初めて細胞や血管にとって意義のある粒子間構造を3次元的に評価することができた。バイオセンサーにより骨形成性低分子化合物を同定したなかで、ヘッジホッグシグナル作動薬SAGが主に骨芽細胞の初期分化を、ヘリオキサンチン誘導体であるTHが主に骨芽細胞の後期分化を誘導することに着目し、SAGとTHを組み合わせて、未分化細胞を刺激することを着想した。その結果、両者を組み合わせることで、単独の場合を大きく凌駕する、きわめて強力な骨誘導能力を持つことが明らかになった。小動物での効果は確認されており、今後、大動物実験に向けて、準備する予定である。オーダーメード型人工骨の臨床治験が終了し、データ解析も終った。現在、オーファンデバイスとしての承認申請をするために、厚生労働省およびPMDAとの協議を行っている。
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