研究課題/領域番号 |
20240046
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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研究分担者 |
宮田 完二郎 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50436523)
長田 健介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (10396947)
山崎 裕一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (00322678)
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キーワード | ドラッグデリバリー / 高分子ミセル / siRNA / がん治療 / 機能性ポリマー |
研究概要 |
本研究では、siRNAの全身投与による固形がん標的治療を実現するために、機能性高分子を基盤とする高分子ミセル型siRNAデリバリーシステムの開発を行ってきた。最終年度は、siRNA搭載高分子ミセルのエンドソーム脱出機能および標的指向性に焦点を当て、高分子設計および評価を行った。(1)エンドソーム脱出に寄与する機能性高分子として、側鎖にアミノエタン繰り返し構造を有するポリアスパラギン誘導体に着目した。種々の比較実験より、アミノエタン繰り返し数が4となる誘導体PAsp(TEP)は、siRNAとの安定な高分子ミセル形成およびエンドソーム酸性環境選択的な細胞膜傷害機能を有し、培養細胞への低毒性かつ高効率なsiRNAデリバリーを可能とすることが明らかとなった。(2)がん組織標的化を目指し、環状RGDペプチドリガンドを有する高分子ミセルを構築した。高速レゾナントスキャナを搭載したin vivo共焦点システムにより、皮下移植HeLa腫瘍モデルに対する高分子ミセルの腫瘍集積性を観察したところ、環状RGDを有するミセルは、環状RGDなしのミセルと比べ、効果的に腫瘍組織(がん細胞および血管内皮細胞)に集積することが明らかとなった。一方、正常組織の内皮細胞への集積性は、環状RGDありとなしでほとんど差がないことも確認された。さらに、血管新生に関与する治療用siRNAを用いて抗腫瘍効果を評価したところ、環状RGDなし/治療用siRNA搭載ミセルおよび環状RGDあり/非治療用siRNA搭載ミセルは有意な治療効果を示さなかったが、環状RGDあり/治療用siRNA搭載ミセルは強力な抗腫瘍効果を発揮することが明らかとなった。
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