研究課題/領域番号 |
20240047
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
秋吉 一成 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (90201285)
|
研究分担者 |
森田 育男 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 教授 (60100129)
森本 展行 東北大学, 工学研究科, 准教授 (00313263)
|
キーワード | ナノゲル / 多糖 / ドラッグデリバリーシステム / タンパク質デリバリー / 再生医療用足場材料 / ナノゲル架橋微粒子 / プロスタグランジンE1 |
研究概要 |
本研究では、申請者らが独自に開発した自己組織化ナノゲル法をさらに発展させ、高機能性ヒドロゲルバイオマテリアルの開発と医療応用を目的とする。具体的には、構造制御された新規刺激応答性ナノゲルの開発およびナノゲルをビルディングブロックやテンプレートとして活用し、ナノ構造制御された機能性ヒドロゲルの設計法(ナノゲル工学)を確立し、新規ナノDDS、新規徐放制御マテリアルや組織工学等における新規人工細胞外マトリクスとしての応用展開を図る。 1)ナノゲル架橋ナノ微粒子の設計と利用:アクリロイル基置換コレステロールプルラン(CHP)ナノゲルの希薄水溶液中で複数のチオール基を有するポリエチレンオキサイド(PEGSH)誘導体と反応させ、ナノゲルが集積された100から200nmのラズベリー型のナノゲル架橋微粒子を合成しする手法を確立した。PEG鎖架橋でナノゲルが安定化され、ナノゲルとの架橋点であるエステル結合が加水分解することで、ナノゲルが徐々に放出しえる従来にない新しいナノ微粒子である。サイトカインであるIL12を内包したナノゲルから架橋ナノ微粒子が得られ、マウス皮下注射によりIL12を血中に長期徐放しえることを明らかにした。 2)ナノゲル-プロスタグランジンE1(PGE2)複合体の創傷治癒への応用:CHPナノゲルに創傷治癒を誘起しえるPGE2を複合体化し、裂傷の患部に塗布することで創傷治癒効果が格段に向上した。ナノゲルによりPGE2の局所徐放が可能になったことに起因することが明らかになった。 3)ナノゲル-ペプチド複合体による骨減少の抑制:CHPナノゲルにTNF-αとRANKLアンタゴニストペプチドを複合化させ、数回皮下投与することで、低カルシウムによる骨減少を効果的に抑制しえることが明らかになった。また、ナノゲル架橋ヒドロゲル系を埋め込むことで、1回投与によりペプチドの長期徐放に成功し、骨減少を抑制しえることもわかった。
|