研究課題/領域番号 |
20240047
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋吉 一成 京都大学, 工学研究科, 教授 (90201285)
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研究分担者 |
森田 育男 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究科, 教授 (60100129)
佐々木 善浩 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (90314541)
澤田 晋一 京都大学, 工学研究科, 助教 (50444104)
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キーワード | ナノゲル / 反応性ナノゲル / 骨形成 / ビタミンB6 / リポソーム / Schiff塩基 |
研究概要 |
本研究では、申請者らが独自に開発した自己組織化ナノゲル法をさらに発展させ、高機能性ヒドロゲルバイオマテリアルの開発と医療応用を目的とする。具体的には、標的指向性を有するナノゲルの設計と細胞内タンパク質・核酸デリバリーのための新規刺激応答性ナノゲルキャリアの設計、開発を行う。また、ナノゲルを集積した複合ナノ微粒子やマイクロ微粒子、多重の刺激でナノゲルが放出しえるような多段階徐放性ナノゲル架橋ヒドロゲルやナノゲルシート膜を設計し、再生医療での新規機能性徐放バイオマテリアルとしての応用を図る。 1)ナノゲル架橋ゲル材料の骨再生材料としての利用:これまでに報告してきた、BMP2を封入した反応性ナノゲルとさらに別のサイトカインであるFGFを反応性ナノゲルに封入した2種類のナノゲルを調整し、それらを混合したダブル架橋ナノゲルを調整したところ、マクロゲルを作成し得ることを確認した。このゲルによる骨形成促進効果をマウス頭頂骨モデル系で検討したところ。BMPのみおよびFGFのみの条件に比べ、顕著に骨形成を促進し得ることが明らかとなった。 2)ビタミンB6置換多糖によるタンパク質架橋ナノゲルの設計:クリック反応を用い、ビタミンB6のプルランへの導入を検討し、ビタミンB6置換プルランの合成法を確立した。得られたビタミンB6置換プルランとモデルタンパク質であるリゾチームとのSchiff塩基形成を介した複合化を検討したところ、pH5-8の条件に置いてpHが上昇するに従いビタミンB6置換プルランとリゾチームとの結合数が増加することが明らかとなった。この複合体は動的光散乱測定、電子顕微鏡観察により粒径が20-30nであることも確認された。 3)リポソーム-ナノゲル複合体ヒドロゲルの設計と機能評価:まず、反応性ナノゲルのリポソームへの被覆条件を検討し、反応性ナノゲルをリポソーム表面に被覆できることを明らかとした。この反応性ナノゲル被覆リポソームと、チオール基を有するポリエチレンオキサイド(PEO)誘導体を反応させたところ、マクロゲルを形成した。このゲルの構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、反応性ナノゲル被覆リポソームがその形状を維持していることが明らかとなった。また、マクロゲルの分解挙動を検討したところ、ゲルの分解に伴いリポソームが放出されることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規会合性高分子としてピリドキサール置換プルランを開発し、タンパク質を架橋点とする新規ナノゲルの開発に成功した。また、疎水化多糖ナノゲルおよびそのナノゲル架橋ヒドロゲルの骨再生医療への応用に関する共同研究も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
新規に開発をしたナノゲルも含め、ナノゲルをビルディングブロックとしてナノゲル架橋ヒドロゲルの開発と骨再生医療応用研究をさらに推進すえる。研究計画通り順調に進んでいるので特に変更点はない。
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