研究概要 |
本研究は、ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:以下BNCT)用の加速器を利用した中性子照射システム(以下加速器BNCT中性子照射システム)を実現するために不可欠な、長寿命の中性子発生ターゲットの開発を目的としている。具体的には、BNCTに優れた中性子照射特性を持っている^7Li(p,n)^7Be反応を、長寿命が期待できる液体リチウムターゲットの形成条件を、液体リチウムの挙動に近い水(平成20~21年度)と液体リチウム(平成21~22年度)の両方の実験から明らかにすることである。なお、液体ターゲットの形成条件は、陽子ビームの発熱条件とその熱除去の観点から、幅50mm、長さ50mm、厚み(0.5mm以上、0.080~0.100mm、0.002~0.010mmの3種類を厚い順番に確認する計画)、流速30m/sとし、湾曲板に沿わせる方式(以下湾曲板流方式)と直接空中に吹き出させて形成する方式(以下直噴平流方式)によって確認した。 平成22年度の研究結果は、平成20~21年度に水の実験で確認した条件に従って以下の特性を250℃前後の液体リチウムを用いて確認したことである。(1)平行板型スリットノズル{出口の幅50mm、隙間0.5mm}を製作し、直噴平流方式で流速を5~25m/sの範囲で確認した。(2)R構造型スリットノズル{出口の幅50mm、隙間0.5mm}を製作し、湾曲板流方式(湾曲板の曲率半径10cm)で流速を5~20m/sの範囲確認した。(3)湾曲板流方式が液膜流の安定形成に役立つことを確認した。(4)電磁ポンプの能力の関係から、目的とする30m/sの確認はできなかったが、その実現の見通しを得ると共に、本液体リチウムループの実験体験を通じて、BNCT中性子発生ターゲット用液体リチウムループ設計製作に有用な情報を収集した。
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