研究課題
最終年度として、ハシボソミズナギドリとオオミズナギドリの軌跡と羽毛の水銀・安定同位体比の分析を行い、太平洋の西部中緯度地帯から熱帯域、両極域における水銀汚染と栄養段階についてのとりまとめを行った。①繁殖地で生える胸の羽はそれまでの水銀蓄積を反映するので、その時採食した海域の汚染度の指標としては必ずしも適切ではないが、越冬地到着後は、蓄積水銀の多くは,既に換羽によって排出されているため、越冬地で生える際外側の尾羽や風切り羽はその海域の汚染を反映すること、②南シナ海や北部日本の太平洋~オホーツク海沿岸の水銀汚染は、ニューギニア北部海域やオーストラリア北西海域、東ベーリング海域よりも高いこと、③栄養段階の指標である窒素安定同位対比と水銀濃度の関係は弱いこと、が明らかとなった。オオミズナギドリとハシボソミズナギドリの飛行羽(前者では際外側尾羽、後者では際外側風切り羽を使った)が生える、1月および6月の個体ごとの平均位置をつかって、それぞれの個体の羽の水銀濃度をプロットすることで、中規模スケールの汚染地図がかけることがわかった。ただし、種や羽のタイプの違いをどう標準化するかの問題は残された。これらの成果を日本生態学会、太平洋海鳥会議、Gordon Research Conference (Invited)で発表した。また、北太平洋海洋研究者会議(PICES)において、汚染物質のモニターとして高次捕食者を使うことの意義についてのシンポジウムを開催し、5年間のとりまとめを行った。これらの成果として、海洋生態系高次捕食者は海洋汚染の年変化や海域間変化のよい指標となること、さらに組織の形成時期や回転率がわかれば、彼らの移動をトラッキングすることで、比較的狭い範囲の汚染や生態系の変化のシグナルをとらえることが可能であることがわかった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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