研究分担者 |
波多野 隆介 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40156344)
井上 京 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30203235)
冨士田 裕子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (50202289)
山田 浩之 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (10374620)
高田 雅之 北海道環境科学研究センター, 環境科学部, 主任研究員 (40442610)
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研究概要 |
微気象学的方法(渦相関法)を用いて,ミズゴケ区とササ区においてCO_2フラックスの連続観測を継続した。その結果,生態系呼吸(RE),光合成(GPP)ともにササ区の方が大きいが,正味CO_2吸収速度(NEP)に両区で大きな差が認められなかった。チャンバー法による結果は昨年度とほぼ同様であり,メタン(CH_4)放出速度がミズゴケ区でかなり大きかった。その量は,他の湿原に比べても大きいものであった。生態学的手法により,ミズゴケの伸長成長が1生育期間で25mm程度であること,ササは8月下旬に,群落全体では9月下旬にバイオマスのピークが存在し,地下部のバイオマスは地上部の約25倍であることがわかった。水文学的アプローチとして,ミズゴケ区とササ区において,溶存態有機炭素(DOC)を含む水質調査,動水勾配観測,透水試験を行ない,DOC流出量がミズゴケ域よりもササ域で多いことが明らかとなった。また,平坦な泥炭湿地の小集水域における流出を観測し,降雨の約70%は中間流(泥炭表層での浅い地下水流)として流出することを明らかにした。さらに,高含水比で未分解の泥炭を不撹乱で採取できるピートサンプラーの試作を行った。これまで採取した13地点の泥炭堆積構造,および8地点での最深部の炭素年代測定から,大きくサロベツ湿原の南北で泥炭の履歴が異なることなど,地点間の共通性と異質性を明らかにした。これらと地形情報より湿原全体の炭素蓄積量の算出が可能であるとの知見を得た。
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