研究課題/領域番号 |
20241004
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 真 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (00225343)
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研究分担者 |
北 和之 茨城大学, 理学部, 准教授 (30221914)
茂木 信宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助教 (20507818)
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キーワード | エアロゾル / ブラックカーボン / 炭素性エアロゾル / 東アジア / 三次元化学輸送モデル |
研究概要 |
東アジアにおける人為的なエアロゾル(大気中に浮遊する微粒子)の増大による、気候影響が強く懸念されている。本研究の目的は、三次元化学輸送領域モデルに放射収支の鍵となる炭素性エアロゾル(ブラックカーボンと有機エアロゾル)に関する新たなエアロゾル・放射特性表現を導入し、東アジアにおける各種エアロゾルの濃度とその放射効果(光学的厚みと単一散乱アルベド)の時空間変動を整合的に明らかとすることである。そして計算結果を観測により検証した上で、東アジアにおけるエアロゾルの直接放射効果について新たな評価を与えることである。 本年度には第一に、H21年度に実施したブラックカーボンや有機エアロゾルの航空機観測や地上観測と、本研究で開発された新しい数値モデル計算結果との詳細な比較を行った。この結果、境界層内の大気が自由対流圏に輸送される際の降水過程によりブラックカーボンなどのエアロゾルが湿性除去を受けたケースについて、数値モデルにより半定量的に説明可能であることが分った。またブラックカーボンの輸送効率(除去されなかったものの比率)は、輸送経路に沿った降水量と相関があることや、観測が実施された春季においては、華北からと華南からとでブラックカーボンの輸送プロセスや輸送効率が異なっていたことなどが明らかとなった。このように気象場との関係からブラックカーボンの輸送効率や輸送される高度、輸送量などを初めて体系的に示すことができた。 本研究では第二に、炭素性エアロゾルの直接効果・間接効果に影響を与える新粒子生成過程についても数値計算を実施した。この結果、観測された減少の特徴をつかむことができた。 最後にこれらの研究に基づき、東アジアの炭素性エアロゾルの動態とその放射効果について評価を実施した。アジアのエアロゾルや前駆気体の排出量を変化させた数値実験によりその効果を定量的に見積もった。
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