研究課題/領域番号 |
20241006
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
馬原 保典 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (30371537)
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研究分担者 |
徳永 朋祥 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (70237072)
松崎 浩之 東京大学, 工学(系)研究科, 准教授 (60313194)
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キーワード | 鹹水 / 沃素同位体比 / 塩素同位体比 / 溶存希ガス / 付加体 / 地下水年代測定 |
研究概要 |
プレートテクトニクス場の違う太平洋側と日本海側の鹹水中の沃素同位体比について調査するためにそれぞれの地域で鹹水とメタンガスを多く含む温泉水を合わせて58試料を採取した。また茂原地域で鹹水の年代測定を溶存希ガスと塩素36から推定するために1900mのボーリングコアーから6試料を採取し、間隙水中にとけている4He濃度を拡散法で測定した。これらの結果を基にまずは、沃素の同位体比を並びに塩素36濃度結果をからプレートテクトニクス場の違いが鹹水形成とそこに含まれる沃素の濃集に影響を与えているかについて検討した。その結果、沃素の同位体比については、太平洋側と日本海側において大きな差がなく、その沃素年代が指し示す時代は、いずれも40Ma以前と非常に古い時代を与える。特に、沃素年代が示唆する時代はまだ日本海が生まれる以前であり、その時期に海生堆積物中に濃集されていた沃素がプレートの沈み込みに伴い絞り出されて、日本海側の石油・水溶性天然ガスと起源を共にする鹹水中に濃集されたとするには、かなり無理があることが明らかとなった。このことは、Fehnらが提唱してきたプレートテクトニクスによって地球規模での沃素循環の中で沃素が鹹水中に濃集されるという機構には異議を唱える結果を与えた。そこで、21年度には沃素はさらに古い時代に日本を形成してきた付加体から供給されているのではないかとの仮定をも設けて、白亜紀・ジュラ紀の付加体の露頭から岩石試料を採取し、そのヨウ素濃度およびヨウ素の同位体比のデータ取得が必要あるとの作業仮説を立て実施する計画を策定した。
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