研究課題/領域番号 |
20241009
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
夏原 由博 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (20270762)
|
研究分担者 |
紙谷 智彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40152855)
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 教授 (00231150)
今西 純一 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (80378851)
今西 亜友美 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 研究員 (70447887)
深町 加津枝 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (20353831)
|
キーワード | 景観生態学 / 里山 / 生物多様性 / 生態系管理 / 地理情報システム |
研究概要 |
本研究は、里山の評価のための景観生態学的手法の開発を目的としている。そのため、(1)時系列地理情報の統合的な利活用のための、過去の空中写真、衛星画像、旧版地形図や各種主題図の時空間データベースの構築を進めてきた。時空間データベースを利用して、地形や土地利用、都市との関係などが異なる複数の流域で、明治期以降の里山景観の変遷や関連する施策を比較検討し、地域資源利用や土地利用パターンに注目して里山の地域性とは何か考察した。しかし、同一流域内においても、社会的条件の変化の影響が標高、傾斜などの自然的立地条件によって異なり、異なるパターンの土地利用変化を引き起こしていた(2)里山利用の変化が、地域植生に及ぼす影響のメカニズムを解明するための現地調査を行った。数十年前に利用が中止された薪炭林において、林冠樹種の成長にともなう林床の種構成変化を景観スケールで評価することを目的として、開葉期に空中写真を撮影し、樹冠分布図を作成した。さらに、撮影地域のブナ・ナラ混交二次林において展葉期と落葉期に一週間間隔で光量子センサーにより林床の光合成有効光量子束密度を測定した。また、里地里山に生育する希少植物の分布特性を、複数の空間スケールを用いて把握した。(3)里山の持つ生態系サービスと、その維持に必要な人の関わり方を検討した。「にほんの里100選」事業や里山・里海SGAに参画した過程で、生態系サービスの概念が整理され、里山の森林生態系は近年、生態系の供給サービスは増加しているが、利用量は減少していると見ることになった。具体的には、海岸クロマツ林、徳島県千年の森などを事例として、植生の構造、機能および立地環境の検討を行った結果、地域住民の生活に必要不可欠な機能を持つ里山林・海岸林は、現在では希少な植生の生育立地に成立しており、植生の保全を含めた維持管理が重要であると考えられた。
|