研究分担者 |
紙谷 智彦 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40152855)
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 教授 (00231150)
鎌田 磨人 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (40304547)
原 慶太郎 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (20208648)
森本 幸裕 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (40141501)
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研究概要 |
里山ランドスケープの変化とそれが我が国の生物多様性におよぼした影響を明らかにし、優先して保全再生すべき里山の抽出と管理について検討した。(1)日本全土での里山の分布や都市拡大による消失リスクを、国土数値情報を用いて抽出する手法を開発した。また、時系列地理情報の統合的な活用を海外地域(上海,バンコク,ジャカルタ)において実証した。(2)絵図等により,除伐や下刈りといった管理が,江戸時代の社寺風致林の管理として一般的に行われ,マツを中心とする植生景観が維持されていたことを明らかにした。(3)里山の管理手法に活かすため、従来の管理が生態系におよぼしてきた影響を整理した。空中写真による解析によって、ナラ枯れ初期ではナラ枯れ被害の発生しやすい条件(谷沿いの林縁部や頂部斜面)があることがわかった。また、林冠構成樹種の違いが林床の融雪速度と光環境に季節的な違いを生じさせ、林床の植物相の出現を規定していることが示唆された。採草地等の開地環境の消失が多くの生物の絶滅危惧の要因になっていることを明らかにした。鳥類では、複数の環境を利用するジェネラリストと特定環境のみ利用するスペシャリストに区分でき,環境要素の管理と配置が鳥類多様性に影響していることを明1らかにした。(4)里山の生態系サービスの景観評価手法に関して検討した。海岸林では,季節風の向き,後背地の景観構造により生態系サービスが異なり,里山における植生の配置は標高などの環境要因との関係がみられた.(5)これらの解析に基づいて、国連大学高等研究所主唱の里山里海サブグローバル評価に参加し、里山の多義的な性格を整理し、生物多様性と生態系サービス保全機能の現状と変化、その要因、今後のシナリオを取りまとめた。それらの成果を、環境省里地里山保全活用行動計画策定に活かすなど、政策への展開と普及を行った。
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