持続可能な社会づくりに向けた環境計画が実効性をもつためには、地域の住民が計画策定の段階から参加することが必要である。環境計画という抽象度の高い計画に関して意味ある参加が行われるためには、住民が現実的な認識と的確な判断力を持つことが求められる。そこで、計画への参加プロセスが、学習プロセスとしても機能することが必要である。近年の参加研究においても学習の重要性があげられており、他者理解や合意形成のスキルとしてワークショップ等の個別手法の研究は行われているが、具体的な計画づくりの局面において、どのような学習プロセスを設定することが効果的かを示す研究は少ない。計画づくりの場面では関係者が自らの主張を表明するだけでなく、他者の考えや立場を深く理解したうえで、自らが持っていた認識や考え方を相対化し、新しい考えや態度を構築していくという自己変革を促すプロセスが求められる。以上の観点から、本研究では環境計画策定の参加の場における相互の自己変革を促進する学習プロセスを提案し、その効果を実験的に検証することによって、学習プロセスを組み込んだ参加手法を構築することを目的とする。 上記の目的を達成するため、本研究は、(1)実態調査、(2)学習プロセスモデル構築、(3)実験準備、(4)社会実験の4段階で行う。研究期間の前半の2 年は国内外の実態調査およびモデル構築と実験準備を行い、後半は実験とそのフォロー、報告書作成や成果発表を行う。
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