研究概要 |
(1)RAP80の機能解析 RAP80は、腫瘍抑制遺伝子、BRCA1と直接に結合する。このBRCA1-RAP80複合体の機能は不明であった。この機能をRAP80遺伝子破壊細胞を作出することにより解析した。そしてBRCA1-RAP80複合体は、DNA切断5'端から化学修飾を除去するのに必要なことを証明した。成果は、我々の教室の院生と准教授とが論文発表した(論文1)。 (2)相同組換えに関与するDNAポリメラーゼの同定-1 相同組換えは、必ずDNA合成のステップを伴う。このステップに、どのDNAポリメラーゼが関与するかは必ずしも明らかでなかった。我々は、Polη/Polν/Polθの3重欠損株をニワトリBリンパ細胞株(DT40)から作製し、相同組換えによる抗体V遺伝子の多様化を解析した。そして、この3種類のDNAポリメラーゼが相同組換えに関与することを証明した(論文2,3)。 (3)新規のRad51活性の制御因子の機能解析 Rad51は、大腸菌のRecAホモログであり、すべての相同組換えに必須である。Rad51活性は様々な方法で制御されている。ヒト・ニワトリでは8種類のRad51制御因子(Rad51B,Rad51C,Rad51D,XRCC2,XRCC3,Sws1,BRCA1.BRCA2)が報告されている。最近に見つかったRad51制御因子の候補(Gemin2)を機能解析した。その結果、Gemin2もRad51制御因子であることが証明できた(論文4)。 (4)相同組換えに関与するDNA切断酵素の同定 相同組換えでは、2本の相同DNAがホリデイ組換え中間体をいったん形成した後、それがDNA切断酵素によって分離される。我々は、分離に関与する切断酵素を検索し、FAN1とSLX4複合体に含まれる切断酵素とが分離に関与することを証明した。成果は、我々の教室の院生が論文発表した(論文5,6)。
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