研究概要 |
マイクロ・ナノ流体デバイスを利用した微粒子・液滴・高分子等を連続的かつ高速で分離・分級するための新しい原理(PFF法およびHDF法)のメカニズムと適用範囲を明確化ならびに実用的な応用に関して以下の検討を行い,有益な知見を得た。 (1)粒子の軌跡と流線の関係:前年度までに購入したマイクロPIV法システムを用いて,HDF法の枝流路分岐点近傍の流線と粒子の軌跡の関係を詳細に検討し,枝流路に入り込む流れと主流との境界形状は枝流路の接続角度に依存することを明らかにした。 (2)HDF法においては枝近傍での粒子の回転が,枝の接続角度に依存することから,回転の容易さを利用して,非球形粒子の形状依存的な分離が可能であることを明らかにした。この場合,通常の粒子分離が,粒子の短径に依存するのに対して,粒子長径に依存した分離が可能であるため,新規に分離原理として応用可能と考えられる。 (3)スループット向上のために,一つのデバイスに同種の構造を多数(50個以上)配列することにより,3分程度で1mLの処理が可能であり,しかも,手動操作も可能であることを示した。 (4)PFF法と磁気分離法を組み合わせた新規な細胞の2次元分離法を提案した。 (5)PFF法と遠心力組み合わせた,粒子の大きさと比重に依存した分離手法を提案した。 (6)HDF原理を応用した細胞の瞬間薬剤処理システム,マイクロバブルを利用した分離システム,多重脂質膜チューブの作製方法を提案し,それぞれ,その有用性を実証した。
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