研究概要 |
マイクロ・ナノ流体デバイスを利用した微粒子・液滴・高分子等を連続的かつ高速で分離・分級するための新しい原理(PFF法およびHDF法)のメカニズムと適用範囲を明確化ならびに実用的な応用に関して以下の検討を行い,有益な知見を得た。 (1)マイクロ流路内流速分布および流路形状が分離に与える影響 HDF法においては主流路の壁近傍で,分離対象の粒子が回転している。特に,枝流路の接続部では,流線が枝流路に入りこむために,回転の容易さが,枝流路の接続角度に依存することを明らかにし,粒子の回転と局所の流速分布の関係をMicroPIVによって実測して明確にした。 (2)粒子形状に依存した粒子分離の原理(粒子の回転挙動の利用) HDF法においては枝近傍での粒子の回転の容易さを利用すると,枝流路の接続角度を変更することにより,非球形粒子の,粒子長径に依存した分離と短径に依存した分離を制御することが可能であることを明らかにした。 (3)粒子(流路)サイズと分離効率 一つのデバイスにHDF構造を多数配列することにより処理量を向上させる検討を進め,手動操作であっても,分離効率の高い流路作成して,ミクロンオーダーの粒子分離に適用可能であることも示した。 (4)HDF法の応用 HDF法は,短時間で大きさに依存した分離が可能であるため,これと細胞の表面マーカーに依存した磁気分離法を組み合わせた,新規な細胞の2次元分離法を提案した。また,HDF原理を応用した細胞の瞬間薬剤処理システムを用いることにより,細胞核の単離および,細胞とタンパク質の相互作用の速度論的な解析が可能であることを示した。加えて,勇断場で作製した多重脂質膜チューブの動的挙動の解析を行い,作製方法の有用性を実証した。
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