1.酸化物表面上に化学結合したアゾメチンオリゴマーの合成 これまでの検討によりアルデヒド基と水酸基とのアセタール化反応を用いて、酸化物表面上に共役系分子(テレフタルアルデヒド:TPA)を化学的に固定可能であることを確認した。23年度は、TPAの末端アルデヒド基を芳香族ジアミン誘導体(フェニレンジアミン:PDA)と反応させることで基板に化学結合したアゾメチンオリゴマーの合成を試みた。TPAを固定化した石英基板をPDAのジクロロメタン溶液とTPAのジクロロメタン溶液に、交互に浸漬することで縮合反応を進行させアゾメチンオリゴマーを合成した。浸漬回数を変えた試料の吸収スペクトルを測定したところ、TPAの示す最大吸収(250nm)に比べ120nm以上長波長シフトした370nm付近に新たな吸収が観測された。この吸収は浸漬回数の増加と伴に吸収強度が増大したことから反応によりアゾメチンユニット数が増加したと考察した。偏光吸収スペクトルの入射光角度依存性によってアゾメチンオリゴマーの配向性を評価した結果、アゾメチンオリゴマーは基板の平面方向に対して約24°の角度で配向しており基板に対してほぼ水平配向していることが分かった。 2.単一分子発光ダイオードの作製と評価 本研究で実現を目指す単一分子発光ダイオードでは電子伝導を担う主鎖としてポリアゾメチン骨格を用い、発色団としてはポルフィリンを用いる。そこで共役系アゾメチン骨格中に組み込む発色団としてアミノフェニル基を二つ有するポルフィリン誘導体を合成した。合成したポルフィリン誘導体を石英基板上に結合させたアゾメチンオリゴマーの末端に反応させて固定化した。固定化反応の進行を吸収スペクトルから確認したところ、アゾメチンオリゴマーには見られなかった新たな吸収が435nmに観測された。この事から、ポルフィリン誘導体がアゾメチン骨格中に導入されたことを確認した。
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