本研究では、酸化物半導体(Indium-Tin-Oxide : ITO)基板上で垂直配向させたπ共役系分子を化学結合によってITO表面上に固定化する。次に、ITOで被覆した走査型トンネル顕微鏡(STM)の探針を共役系分子と化学的に接合し、基板-π共役系分子-STM探針が一体となったナノ構造体を形成する。この構造体をひとつの物質系と捉え、以下の3点を明らかにする。 (1)ITO基板と分子あるいは分子とSTM探針を結ぶ化学結合種が、分子の電気伝導性にどの様な影響を与えるかをトンネル分光法によって解析する。 (2)共役系分子の分子長を変えた際に、このナノ構造体を流れる電流-電圧特性が受ける影響を実験的に計測する。 (3)共役系分子の化学構造を制御して単一分子発光ダイオードのような新規な有機量子デバイスの創出を図る。
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